【スガリンピック】小池都知事が都医師会長を叱責 「ポスト菅」の密約交わしたか
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小池都知事が都医師会長に、「あなたの影響は大きいのだから、いい加減にしてよ」
「自分(選挙)ファースト」の小池百合子・東京都知事の権力追随姿勢が露わになった。一時期は、五輪開催強行の菅政権に対して「中止表明をする」との見方が流れたが、いまだに“菅五輪(スガリンピック)”ゴリ押しで首相と足並みをそろえ、中止・再延期を望む民意を潰す側に回っているのだ。
見立ては外れた。5月17日の本サイト記事『【会見まとめ】小池都知事が「五輪中止」を旗印に都議選突入か 都医師会会長も後押し』のなかで、「小池都知事と尾崎氏はワクチンチームで連携する仲。(新規陽性者を)『1日100人以下』とする〈尾崎基準〉を根拠に、小池都知事の五輪返上の地ならし役になるのでは」と予測したが、小池知事は尾崎治夫・都医師会長と連携して菅五輪中止を迫るどころか、医療関係者の異議申立てを叱責していたというのだ。
6月8日の都医師会定例会見。先月の会見で「新規感染者1日100人以下」の五輪開催基準を示した尾崎氏だが、この日も「私が言ったことは今もぶれないし変わっていない」と強調。そこで「(五輪開催について)小池知事と一緒に菅総理に申入れをする考えはないのか」と聞くと、尾崎氏からは「一緒に行動する考えは今のところありません」という否定的回答しか返って来なかった。
会見後、尾崎氏に「小池知事とは五輪について意見交換をしているのか」と改めて聞くと、「(意見交換は)していない。怒られるのは、よく怒られる」というのだ。
――どう怒られるのか。
尾崎会長 「あなた(尾崎会長)が自分の意見を言うと、みんな(五輪開催に)ネガテイブの方に捉える人たちが書き立てるのだから。あなたの影響は大きいのだから、いい加減にしてよ」とは言われる。
――(先の“尾崎基準”について小池知事は)菅総理に申入れをするといい方向にいくと思うのが。
尾崎会長 そういうふうには思っていない。(小池知事は)五輪はやりたいと思っている。
――この(感染)状況でもですか。
尾崎会長 思っているのではないか。別の意味で。
――自分の成果にしたいと。
尾崎会長 そういうことではないと思う。だって小池知事にとってみれば、自分で招致したわけではない。そもそも石原さんとか猪瀬さんがやってきたことでしょう。彼女にしてみれば(都知事に)なったときに五輪があった。だから、そういう思いはないと思う。
――こだわりがないのだったらスパッと「(五輪)中止」を言ってもいい。あるいは、「1日100人以下の陽性者」の基準を(菅政権に)突き付けることもできる。
尾崎会長 そのへん(小池知事の考え)はよくわからない。感染症とか医療の人ではないから、やっぱり感覚が違うのだと思う。
「緑のたぬき」の異名を持つ小池知事は「民意を読む天才」とも言われ、従来の方針を一気に変える“瞬間変身芸”の達人でもある。だからこそ小池知事は、5月11日の尾崎会長会見で示された「1日100人以下の陽性者」の五輪開催基準を菅首相に突きつけ、拒否されたら五輪中止表明に踏み切るという近未来図を思い描いていた。しかし実際には、医療関係者である尾崎氏の提言を活かすどころか、叱責して民意を潰すという真逆の対応をしていたのだ。
この日の会見では、尾崎氏の懸念(五輪スポンサーや報道関係者への対応が甘い)が的中したことについても私は質問をした。
――前回、会長が「選手はバブル方式なので、スポンサーやメデイア関係者のほうが感染リスクが高い」とおっしゃった。それを裏付けるようにインド人の五輪放送の関係者が代々木に宿泊をして自由に外食をして歌舞伎町にも出入りしていることが国会でも取り上げられた。まさに会長がご指摘になっていることが現実化していることについてどう思われるのか。
尾崎会長 「こういった条件であれば、こういうかたちで開かれる」という話をぜひしていただきたいと今でも思っていますので、本当にそういう説明を国も組織委員会も都もできればしていただきたいと今でも願っています。
インド人五輪放送関係者の歌舞伎町への出入についても会見後に尾崎氏に聞くと、こう答えた。
「そういうことはいくらでもきっと、今後も起きるでしょう。だから(感染が)広がっていくと思います」。
さらに、バブル方式(開催場所を隔離して、外部との接触を遮断する方法)は絵に描いた餅ではないか、(インド人は)広島や京都旅行も予定しているらしいが、と聞くと、尾崎氏はこう続けた。
「だから選手は管理できでも、他のメデイアは、こういうところを見てもわかるように危ない、忖度しないわけだから。自分たちのやりたい放題にやるから。だから一番危険だと僕は思います」。
小池都知事は「ポスト菅」の密約を交わしたのか
本来なら小池知事は尾崎氏と連携して菅政権(首相)に対して、五輪開催基準「1日100人以下の陽性者」を突き付けたり、開催強行の場合でも「無観客・無報道」の感染リスク低減策を提案すべきなのに、都民の命を守る職責を放棄しているに等しい。
6月4日と11日の小池知事会見でも質問者として指されなかったので、“記者排除”への抗議を兼ねてこんな声掛け質問をした。
「五輪中止は言わないのか。“菅五輪”と心中か。ポスト菅の密約でもあるのか。都民ファも(五輪)再延期を言い出した。都民の命は二の次か。IOCの言いなりではないか。『売国奴』『国賊』と呼ばれてもしようがないのではないか。『都民ファ』は『五輪ファ』になりますよ」(4日)。
「歌舞伎町にインド人五輪報道関係者が出入りしている。『三徹』はザルではないか。東京が感染震源地になる。『都民ファ』ではなくて『五輪ファ』ではないか」(11日)。しかし小池知事は両日とも一言も発しないまま退出した。「菅政権の命運を左右する五輪中止カードを使って、ポスト菅の密約を交わした」と疑われても仕方がない。「自分ファースト・都民の命二の次」という小池知事の化けの皮が剥がれたようにしか見えないのだ。
【ジャーナリスト/横田 一】
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