高い処理能力と果敢な設備投資で オンリーワン企業としての地位を築く
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柴田産業(株)
1954年の創業以来、半世紀以上にわたりきめ細やかな選別リサイクルを実施、資源の有効利用と地域環境保全に努めてきた柴田産業。きめ細やかで質の高い「高品位リサイクル」を目指し、ゼロエミッションを目指すオンリーワン企業として存在感がますます高まっている。
高い処理能力が企業としての強み
――産業廃棄物処理において、御社は他社と比べてどのような特色をもつのでしょうか。
柴田功治・会長(以下、柴田) 当社では電力関連企業や通信関連、あるいはメーカーからの依頼に特化しています。そこが他社との違いでしょうか。
――電力会社やメーカーとの直接契約というかたちなんですね。
柴田 そういう意味では、世間の景気が良いときでも悪いときでもそれほど影響されることはないのです。たとえ景気が悪いときでも廃棄物は必ず出ますから。
――製造業が動く以上は、なくてはならない業界だということですね。
柴田 当社は、大分県・福岡県・佐賀県・長崎県の大手通信会社についてリサイクルをやっているんです。固定電話だったり、携帯電話に関わる産業廃棄物ですね。今はもうほとんど見なくなりましたが、公衆電話もすべてリサイクルしています。
――「HAMMEL社製移動式破砕機(ビッグバス)」と呼ばれる、新型破砕機の性能は。
柴田 年間約3万5,000tの処理能力があります。その他の中型破砕機・シュレッダーでも400馬力で1日の処理量200t以上のものが3台ほどあります。廃プラスチックで100t、がれきだと160tほど。中型のものでも廃プラ処理100tがベースです。2017年7月の九州北部豪雨では、被災地の朝倉市でトラックと機械を用いた復旧にあたりました。その際、被災地現場まで破砕機を持ち込むことができなかったことで、ビッグバスを購入しました。その後の20年西日本豪雨での久留米市の水害や、21年7月豪雨での久留米市や大牟田市の水害時にもスピーディーな対応をとることができました。
――大きな武器ですね。
柴田 当社の強みは処理能力が大きいことと、硬いものの処理に特化した設備投資を行ってきたことです。だからモーターなども粉砕・破砕できる。それと光ファイバーケーブル、あれは中に硬い支持線が入っているので大変ですが、そういったものの処理に特化するような設備投資をします。太陽光パネルリサイクルについても、福岡県総合リサイクル研究事業センター主導で九州産業局や北九州市立大学などと産官学連携して、プロジェクトチーム「福岡県太陽光発電保守・リサイクル協議会」が結成されました。産廃業者からは当社を含めた2社が参加しております。今後さらに増加が見込まれる老朽化した太陽光パネルをどういった手順で廃棄するのか道筋をたてることを目的としています。
――現在、廃棄物として最終処分場に持ち込む割合はどのくらいでしょうか。
柴田 現状、当社で最終処分場に持ち込む分は10%ぐらいにまで減っています。85%以上はリサイクルしますので。
売上は堅調~労災削減にも取り組む
――リサイクル率がかなり高いですね。
柴田 そうですね。一時は98%ぐらいの高い比率を維持していたんです。大型機械を入れたうえで、手作業に近いかたちの処理過程も加えるとリサイクルは100%に近くなっていくんです。
いわゆる「中国方式」で、手作業できれいに分けることによってリサイクルする。ただし、どんな良いことをやっていても費用対効果があります。たとえお客さんに対して「ウチはゼロエミッションでやります」と言っても、明細書を見て「そんなに高いんだったらうちは遠慮します」となりますから、そこが私たちの壁です。解決は難しいため、厳密にいうと当社は久留米市ではビジネスをしていません。メーカーでいえば福岡市や他県の県庁所在地など。為替が1ドル=102~103円のころはアメリカからも仕入れていました。今はアメリカの企業の株式を25%ほど投資して、社内物流でもってこさせています。
――会長個人で特許もお持ち出そうですね。
柴田 自動車レースの給油場面を見たことがある方はわかると思いますが、燃料タンクの差し込み口に給油管を差し込む構造になっている部分があるんです。あれが私の特許なんです。トランスミッションの油を抜き取る下にドレーン(排出口)の穴があって、上から高圧バキュームで吸い取っても最後どうしても取れない部分がでてきます。それが火災の原因になりますし、油がこぼれたりしたら困るでしょう。それを解決するために、プロパンガスのボンベを加圧と減圧を変えて一気に吸い取ったら100リッターぐらいなら何秒かで入れられます。
――いま、年商ではどれくらいでしょう。
柴田 柴田単独で80億円、グループだと300億円になりますが、利益率が薄いですね。ここを何とか変えていきたい。さらに、取引先が1社だけだとリスクが高すぎますので、さまざまな企業さんと取引させていただく。九州だと大手鉄道会社と大手ガス供給会社、あとは電力と通信、だいたいこれぐらいあったら私たち中小企業は食べていけますから。
――業界に特有の話でいうと、労災の多さを解決しなければなりませんね。
柴田 確かに多いですね。コンサルを入れて月1回の社員教育をずっとしています。社会保険労務士の男性を営業で入れて社員教育もさせてるんですが、現場の人間に対してはなかなか口を出せない雰囲気があります。事故が大きいからメンテナンスなどをしっかりするように教えていますが、教育が行き届かないのが現状です。
エコタウン事業は行政が主導して
柴田 たとえば市役所で使っていた扇風機をゴミとして出す場合、これは一般廃棄物です。しかし、家電メーカーが「扇風機が雨に濡れて売り物にならなくなった」ということで出す場合は産業廃棄物になります。メーカーとしては商品クレームが出るといけないから、これはもう絶対に産廃にしなければならないわけです。それが中古で流れたらとんでもないことになりますから。物をマテリアルとしてリサイクルする、燃やして電力としてリサイクルする、そういった方法をつくらなければなりません。
福岡県内の埋め立て場はここ10数年間、新規のものはできておりません。佐賀県、鹿児島県では若干できているという話は聞きますが、すぐ埋まります。
――鹿児島や宮崎まで持って行くと、運賃だけで割りが合わないですよね。
柴田 往復500kmかかりますから、お客さんが納得しませんよ。リッター3kmはいかないので、高速を使って3時間半から4時間でかけたらいったいいくらになるのですか? という話です。
たとえば家屋を解体するのに、1981年の建築基準法開成で耐震基準が厳しく変わりました。熊本地震でも1981年以降に建てられた家は割と崩れていませんでしたね。木造家屋の解体は坪3万円以上かかるんですよ。きれいに分別して瓦、木、泥、コンクリートを分けなければなりませんから。そういった費用対効果をちゃんとしなければならない。法律はどんどん厳しくなっていきます。
だからその出口をきっちりとする。そのためにもエコタウン事業が必要なんですね。市民の方は、「必要なのはわかるが、私の家の近所は嫌だ」とおっしゃいます。たしかに「迷惑」産業なのかもしれません。だから行政の方でエコタウンをしっかりつくっていくという取り組みを進めてほしいですね。
【聞き手:内山 義之】
<COMPANY INFORMATION>
柴田産業(株)
代 表:斉 浩
会 長:柴田 功治
所在地:福岡県久留米市梅満町1246-1
設 立:1954年11月
資本金:1,200万円
URL:http://www.shibata-3r.co.jp/
事業内容:商事部門=非鉄金属くず・不用フィルム・金・銀・特殊金属/リサイクル部門=コンピュータ類の回収解体・通信機器・廃基板類・有機溶剤・不燃物処理・廃バッテリー類
許 可 :産業廃棄物処理業(福岡県・久留米市・大牟田市)、産業廃棄物収集運搬業、特別管理産業廃棄物収集運搬業(九州沖縄全県・山口県・広島県・岡山県・兵庫県・大阪府・香川県)、久留米市一般廃棄物収集運搬業、一般建設業 福岡県知事 許可(搬-9)第90935、使用済小型電子機器等の再資源化認定業者関連キーワード
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