【五輪ファースト】穴だらけの「バブル」で日本人の命は守れるのか ボッタクリ男爵にひれ伏す菅首相と小池都知事
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バブル方式は破たん、国民の命を危険にさらす菅首相と小池都知事
IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は菅首相と7月14日に会談、「我々が日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」と言い切り、面談後の囲み取材でもプレーブック(感染対策指針)違反の報道について聞かれて「報告は届いていない」とうそぶいた。五輪開催による日本人への感染拡大リスクを無視する姿勢をトップ会談で露わにしたのだ。
そんな「五輪ファースト・日本国民二の次」の商業主義丸出し“ボッタクリ男爵”は翌15日、五輪強行で菅首相と足並みをそろえる小池百合子知事と会談。冒頭の挨拶までは報道関係者に公開されたが、終了後の囲み取材は予定されていなかった。そこで挨拶前の写真撮影が始まった際に、バッハ会長に向かって叫んでみた。
「President Bach!You are liar! Airport is dangerous! Bubble is broken!(バッハ会長、あなたは嘘つきだ! 空港は危険だ! バブル方式は破綻した)」
すぐに都庁職員2人に腕をつかまれて退場させられたが、バッハ会長に続いて小池知事にも声掛けする準備はしていた。「バッハ会長の大嘘を追及しないのか。羽田空港の水際対策はザルだ。都民の命は二の次か」。しかし、瞬時の強制退去で質問の機会を逃してしまった。
バッハ会長への声掛けは、都民を守る職務放棄を続ける小池知事が苦言を呈するはずがないという見立てに基づくものだった。7月7日の本サイト記事「【都議選2021】“小池たぬき寝入り劇場”が大成功」で紹介した通り、小池知事は五輪強行の菅首相に同調、都医師会の五輪意見書(感染拡大や医療逼迫時に中止などを求める内容)を放置していた。都議選最終日に都民ファ候補を激励した小池知事を直撃、「都医師会の意見書は無視か。都民の命、二の次か」と声をかけたのはこのためだ。
実際、バッハ会長は小池知事との面談でも「日本人に対するリスクはゼロだ」という暴言を吐いたが、小池知事が水際対策の甘さやバブル方式の欠陥を指摘することはなかった。五輪開催による感染リスクから目を背けることでは、菅首相も小池知事もバッハ会長と同じだったのだ。
対照的だったのが、7月6日に五輪総点検ヒアリングチームを発足させた野党議員。すぐに、五輪関係者の来日が本格化していた羽田空港の水際対策をチェック。一足早く視察した菅首相のコメント、「選手や大会関係者らが入国する際の空港内の動線は、一般の搭乗客などと完全に分けられている」が現実と食い違っていることを暴いた。視察後の会見で長妻昭・元厚労大臣は、安心安全を保証する“バブル方式”の欠陥をこう暴露したのだ。
「(五輪関係者と一般日本人が動線で分けられている)入国手続きの外を出てしまうと、そこで混じってしまう。一番驚いたのは、トイレとかコーヒースタンド。一般の見送りに来ている日本国民と、新規入国者がトイレもコーヒースタンドも同じものを使えてしまうのです」
確認取材をすると、バブル方式の破綻はすぐに実感できた。問題視されたコーヒー店に英国人報道関係者がいたので「コーヒー店の利用は禁止されていないのか」と声をかけると、「NO!(禁止されていない)」と回答。そこで「日本人がいる。リスクがある」と指摘したが、「私は知らない。『空港全体がバブル』と日本政府が言っている」と言い張り、非を認めようとしなかった。
トイレが共用可能であることも確認できた。駐車場に向かう五輪関係者グループの1人が途中でトイレに立ち入ったので、追いかけて行って隣で用を足したのだ。空港内を巡回していた警備員に海外五輪関係者と日本人の混在ぶり(バブル方式の穴)を伝えると、「危惧しています」と非を認めてもいた。
ハイヤーやタクシーやバスの乗り場がある到着ロビー1階では、「東京2020」の青いユニフォームを来た若い女性が案内役をしていたが、「ワクチンを打ちましたか」と聞くと、「まだです」と答えた。
「けっこう危ないですよね。(来日五輪関係者に)感染した人が紛れ込んだりして接触したら」と聞くと、「そうですね。怖いですね」と心情を口にしながら、こう続けた。「ワクチンの接種券は届いているのですが、7月末から8月頭の予約開始みたいで、それまでは(ワクチン接種は)できないので」。
ゼロリスクと言い張るバッハ会長に「あなたは嘘つきだ」と叫んだのは、羽田空港視察でバブル方式の穴を確認した野党議員や現地スタッフから話を聞いていたからだ。
小池都知事は「記者排除」で五輪の不都合な真実を隠ぺい
7月9日の小池知事会見でも、終了直後に「羽田の水際対策はザル。選手と一般人が混在している。現地視察をしないのか。怠慢知事ではないか。羽田空港の現地、見てください」と声掛け質問をしたが、小池知事は無言のまま退出した。羽田空港の水際対策の甘さを現地視察で確認をすることもせず、「五輪ファースト・都民の命二の次」という対応を小池知事は続けたのだ。
しかも小池知事は、バッハ会長に言うべきことを言わない自らの職務怠慢を棚に上げて、報復的な取材妨害(国民の知る権利の侵害)も始めた。私が7月29日、週1回のペースで開催される「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議」を取材しようとしたところ、会議室への入室を認めなかったのだ。モニタリング会議担当の総務部に電話で「事前の取材申込は必要ありません」と言われて都庁7階会議室に行ったところ、報道課の職員から取材禁止を告げられた。
鈴木成・報道課長は「小池知事からの指示ではない」と言いながら、「バッハ会長に声をかけたことがルール違反だ」とモニタリング会議取材禁止の理由を説明した。しかし写真撮影中にカメラマンが「こっちを向いてください」などと声をかけることはよくあり、同じタイミングで「あなたは嘘つき」などと言ったにすぎず、撮影自体を阻んだわけではない。その後の挨拶が始まる前に強制退出をさせられたため、面談自体の進行が止まったわけでもない。
なお報道課はハフポスト日本版の取材に対して「取材活動は構わないが、運営に支障が出る行為は困ります」と説明しているが、撮影自体ができなくなったわけでも、続く挨拶に支障が生じたわけでもない。鈴木報道課長は否定するが、小池知事の指示(あるいは忖度)による報復的な取材妨害としか見えないのだ。
都民を守る職責を放棄して五輪強行で菅首相と足並みをそろえる小池知事は、記者排除を徹底して不都合な真実が露わになるのを防ごうとしているようにみえる。「女ヒトラー」「女帝」とも呼ばれる独裁的な小池知事は、徹底的に監視(チェック)していく必要がある。
【ジャーナリスト/横田 一】
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