『脊振の自然に魅せられて』沢登りは夏の「清涼剤」(前)
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今年も沢登りの季節がやってきた。筆者が沢の魅力を感じるようになったのは、25年前に脊振の写真を撮り始めた頃からだ。福岡市早良区の曲渕方面へ続く国道268号の石釜にあるバス停の上に国民宿舎があった。今は「湧水 仙石の郷」となり、風呂とバイキング料理を楽しむ宿泊者が多く訪れている。
そこから15分ほど歩くと坊主が滝の入り口に届く。坊主が滝は落差15m、花乱の滝とともに福岡市を代表する大きな滝である。滝の入り口から10ほど歩くと坊主が滝に届く。その上部が雄大な渓谷であり、筆者は「坊主が沢」と名付けている。
坊主が滝の上部の大滝を越えて、大きな石の上をトントンと飛び越え、中間地点の静かな男女滝の側でトコロテンを食べるのが楽しみで、後に筆者の夏の恒例行事をなった。
7月24日に、ワンゲルの後輩2人、「脊振の自然を愛する会」の女性会員で初挑戦のS嬢、西日本新聞『のぼろ』の記者N氏に声をかけて、沢登りに出かけた。
N氏は昨年、沢へ行きたいと熱心に筆者へアプローチしていたため、これまで2度、脊振の沢を案内した。今年の初入渓は、椎原登山口から矢筈峠へ続く登山道に並行する車谷渓谷だ。落差のある滝が少なく初心者でも体験できるコースである。
参加者は77歳、60代、50代が各1人と、75歳が2人の合計5人である。初体験のS嬢はレクチャーを受けたいと、早めに集合場所にきていた。大きめのビニール袋に小分けして、沢の水が入らないよう輪ゴムで止めてザックに収納するが、S嬢は家庭用ゴミ袋を持参していた。主婦らしい発想であった。
S嬢には区役所職員から譲り受けた沢靴を貸してあげた。さらに念のため、S嬢は安全確保のハーネスを装着した。段差のある滝や岩から引っ張りあげるための装備である。ヘルメット着用は必携であるが、S嬢が持参したヘルメットはバイク用のニコニコマークが付いたかわいいものであった。
いよいよ5名で入渓を開始する。カジカが鳴く椎原登山口横の舟入橋から渓谷の水に足を入れた。膝下の水がヒンヤリと体を冷やす。今年初の入渓に緊張が少し走る。
筆者は2日前に人工スキー場のサンビレッジ茜でスキートーニングを行ったばかりで疲れもあるため、妙にバランスが悪く沢のなかに何度か倒れこんだ。加齢もあるのか、バランスが悪い状態が何度も訪れるため、いつもより慎重に歩かなければ、と肝に念じた。初体験のS嬢に、踏んで良い石の見極め方を教えた。苔むした茶色の石は沢靴を履いていても滑りやすい。
(つづく)
2021年7月30日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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