【コロナで明暗企業(11)】良品計画のトップ交代~「無印良品」の堂前氏と「ユニクロ」の柳井氏がガチンコ対決(中)
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生活雑貨「無印良品」を運営する(株)良品計画の次期社長に堂前宣夫専務(52)が昇格する人事が7月2日に発表された。就任は良品計画の新年度が始まる9月1日付。堂前氏はカジュアル衣料「ユニクロ」などを展開する(株)ファーストリテイリング出身で、柳井正会長兼社長の後継者と目されていた人物だ。「無印良品」の堂前氏と「ユニクロ」の柳井氏のガチンコ対決に関心が集まる。
国内では食品スーパー化を進める
良品計画は海外事業の再生に向けて、ファストリで米国事業を担当していた堂前宣夫氏をヘッドハンティング。2019年2月に、上席執行役員営業本部長に就任、3カ月後の19年5月に専務取締役 兼 執行役員営業本部長 兼 情報システム部、流通推進部、商品計画部管掌。20年9月、専務取締役兼執行役員営業本部長となった。そして21年9月、社長に昇格する。社長・松崎暁氏は副会長になり、金井政明氏は会長職にとどまる方針だ。
良品計画に入社した堂前氏は、新中期経営計画を中心になって策定した。良品計画は7月21日、中期経営計画を発表した。9月に始まる新年度を「第二の創業」と位置づけ、30年8月末に国内外の店舗数を約2.5倍まで増やし、売上高を3兆円、営業利益を4,500億円に引き上げる目標を引き出した。
21年8月期の連結業績予想は、売上高は4,876億円、営業利益は348億円。21年8月期に比べて、売上高を6倍超、営業利益は9倍超に引き上げる拡大戦略だ。
国内では年100店のペースで純増させる体制を整える。地場の食品スーパーと連携し、となりに売り場面積を600~800坪ほどの店を構える戦略を軸とする。スーパーに生鮮食品を買いに来る客が、ついでに日用品を買えるようにする。
人口60万人あたり売り場面積約2,000~3,000坪の大型店と、食品スーパー横の標準店6店などを出し、この商圏で売上高約90億円を確保する。
衣食住に対応する「無印良品」は、衣服・雑貨は「ユニクロ」、家具・インテリアは「ニトリ」「イケア」など、強力な専門店との戦いを余儀なくされる。今後は、スーパーマーケットと一体化した業態に転換をはかる。食品を主軸に、衣服・雑貨、家具・インテリアを扱う総合スーパー化を目指すことになるだろう。
中国では年50店ペースで出店攻勢をかける
当面は日本と中国に経営資源を集中させる。中計の最終年度(24年8月期)に中国で年間50店出店できる体制を構築する。中国事業を担う経営チームを立ち上げて手薄な地方都市などで出店を加速する。現在のペースから倍増させる。現地で企画する商品を増やすほか、幹部採用も進める。
次期社長に就く堂前専務は「成長の柱は日本とアジア市場だ」と強調。そのうえで「中国では価格が高いというイメージがあり、幅広い顧客を獲得できない」と指摘。中国で売り場面積や商品数を拡大し、新たな顧客獲得を進める。
良品計画の海外の主軸は中国だ。良品計画は05年に中国に進出。21年5月末の店舗数は上海市や北京市など都市部を中心に294店と全体の3割を占める。東アジア事業の営業利益は21年8月期に前期比55%増の266億円と、国内事業とほぼ水準を見込む。
(つづく)
【森村 和男】
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