【コロナで明暗企業(11)】良品計画のトップ交代~「無印良品」の堂前氏と「ユニクロ」の柳井氏がガチンコ対決(後)
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生活雑貨「無印良品」を運営する(株)良品計画の次期社長に堂前宣夫専務(52)が昇格する人事が7月2日に発表された。就任は良品計画の新年度が始まる9月1日付。堂前氏はカジュアル衣料「ユニクロ」などを展開する(株)ファーストリテイリング出身で、柳井正会長兼社長の後継者と目されていた人物だ。「無印良品」の堂前氏と「ユニクロ」の柳井氏のガチンコ対決に関心が集まる。
最大の懸念材料は中国・新彊地区の人権侵害問題
良品計画は、ユニクロと並んで中国で成功している数少ない日本企業の1つであるが、中国・新彊ウイグル自治区の人権侵害の問題をめぐってはリスクが残る。
良品計画は無印良品の綿を栽培する新彊地区の約5000haの農場については、畑や作業者のプロフィル、人員計画を把握しつつ、第三者機関による現地での監査も行っており、同社の行動規範や法令に対する重大な違反は確認していないとして、今後もウイグル綿を使用する方針を表明している。
新彊ウイグル自治区では、少数民族が強制的に綿摘みや縫製工場の労働に従事させられていると国際人権団体などが指摘している。中国・新彊ウイグル地区の強制労働をめぐり、フランス検察当局は7月1日までにファストリなど4社を捜査した。他に、「ZARA(ザラ)」などを展開するアパレル世界大手インディテックスと仏中堅アパレルSMCP、米靴大手スケッチャーズ。いずれもフランス刑法の「人道に対する罪の隠匿」の疑いがかけられているという。
米国は21年1月にウイグル産綿製品のすべてを輸入禁止にした。日本企業では「ユニクロ」の綿製シャツが、新彊ウイグル自治区の強制労働をめぐる米政府の輸入禁止措置に違反したとして、米税関・国境警備局(CBP)が1月、ロサンゼルス港で輸入を差し止めていた。
欧米が対中制裁を発動したことを受けて、中国ではスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)など欧米の小売企業に対する不買運動が広がっている。
中国は世界第2位の綿花生産国であり新彊産は中国産の8割強を占める。日本の繊維産業は中国の綿がなければ事実上、立ちゆかない。日本企業は取引をやめて人権対応を優先するか、取引を続けるかの「踏み絵」を迫られている。米中の溝が深まり続ける以上、どちらかの国の規制に抵触する事態は生じうる。
良品計画の新社長・堂前氏は、出店戦略や商品開発だけでなく、人権侵害をめぐる問題への対応も求められる。
(了)
【森村 和男】
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