『脊振の自然に魅せられて』モウセンゴケとハッチョウトンボ(後)
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今年6月上旬、見知らぬ人から私宛てに1通の電子メールが届いた。内容は、この湿原のハッチョウトンボの生息についてであり、“ハッチョウトンボ国勢調査”に協力してほしいとの内容だった。この方をインターネットで検索すると、某大学の元教授で昆虫学者であった。
突然のメールに驚いたが、どこで私のメールアドレスを知ったのかと尋ねると、福岡県の環境部門のデータベースに「脊振の自然を愛する会」の代表として登録されおり、それで連絡してきたとのことであった。
その後、単独で7月、8月と2回訪れたが、ハッチョウトンボは我が目には1匹も飛び込んでこなかった。この湿原では絶滅したのだろうか。私は素人の自然観察員もどきである。
ハッチョウトンボ生息なしと昆虫学者の Kに報告すると、6月に4回この湿原を訪れ生息数を確認しており、オス・メス合わせて10匹ほどとの報告が届いた。Kの情報によると、モウセンゴケが生える湿地にハッチョウトンボが生息しているらしい。
インターネットで検索すると、モウセンゴケとハッチョウトンボは生息に関係があることがわかった。モウセンゴケは食虫植物であるが、7月ごろに小さな白い花を咲かせる。そのページには、モウセンゴケの花にハッチョウトンボが羽を休めている写真や、長居をしすぎて食虫植物であるモウセンゴケの餌食になった写真も掲載されていた。
8月に訪れたときは長雨の後で湿地の水は増えていたが、モウセンゴケは時期的に消えていた。
佐賀県唐津市七山にあるよく知られた樫原湿原でも8月にはハッチョウトンボは見当たらないと、Kからのメールに記述されていた。
モウセンゴケとともにハッチョウトンボとの再会を楽しみにしている。また 、9月に福岡県久留米市在住のKと会おうと思っている。
追伸
湿原を訪れるのには心構えがいる。長靴、長袖、日焼け対策、カメラ機材を広げるビニールシートなどを用意する。長靴のなかのズボンの裾はストレートにすること。
一度自宅へ、ツナギの折り曲げた裾に10㎝ほどのムカデとミミズを土産にもって帰ったことがある。ミミズは洗濯機のなかで洗濯物と一緒に回され、30㎝ほどに伸びていた。ムカデは洗面所に落ちて静かにしていた。私はなぜここに運ばれたのであろうと思っているようであった。もちろん新聞紙に包んで処理した。
(了)
2021年8月16日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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