2024年09月27日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~「90後」若者の管理はしづらいのか

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 「90後(1990年代生まれ」)が職場に進出してきたにつれ、「若者がますます管理しづらくなった」との声がしきりに聞こえてくる。「自己実現を求める」「個性を発揮したがる」「説教されるのを嫌がる」「転職を繰り返す」「仕事と生活のバランスを追求する」……こうしたよく耳にする表現は、今や若者の「標準装備」になっている。

 中国だけの現象ではない。最近のメディアの報道によると、韓国の「90後」もそうだという。書籍「90年生まれが来る」に書かれたエピソードによれば、韓国CJグループのブランドマネージャーのイム・ホンテックさんは、韓国の「90後」が職場に進出するようになって、これまでの韓国の職場文化に激しい衝撃を与えている状況に気づいた。

残業文化に反対する

 「90後」にとって「定時退社」と「有給を取る」のは当たり前、権威主義や説教には抵抗し、企業に対する忠誠度は低く、自分の選択への忠誠度だけ高く、残業文化に反対する。

 「90後は管理しづらい」という話題は、これまで社会で数多く議論され、その原因を世代間の思考様式の違いに帰結するのが主流の見方だ。「70後(70年代生まれ)」や「80後(80年代生まれ)」の先輩たちは決定権と発言権を握り、「90後」に対しても従来の管理の考え方とスタイルを採用し、そこで一種の食い違いや不釣り合いが生じる。つまり、「90後」が管理しづらいのではなく、企業の管理がよくないのだ。

 このような状況のなかで、管理の問題を認識するようになり、若者に対応するための制度と戦略の調整を考えるようになった企業が現れた。こうした事例から、「管理しづらい90後」は固有の職場文化を揺るがすだろうかという問題を考えざるを得ない。中には、「これから『90後』が成長して管理職になり、職場の発言権を完全に握るようになると、職場文化が完全に変わるだろう」と予測する人もいる。こうした見方は楽観的すぎるのではないか。

職場文化を変える必要がある

 まず、若者の要求には合理的な面もあれば、不合理な面もある。すべての職場が自分のイメージするようなすばらしい状態になると期待するのには無理があり、そのような期待は一方的な願望や思い込みに過ぎない。

 働く若者の要求に直面して、企業のなかには一部の調整を行ったところもあれば、転換が難しいところもある。管理は思考と構造であるとともに、技術と能力でもある。雇用機関は、なかにはもともと根深い体制の問題に直面し、管理がうまくいかず、長期にわたる悪習を改めるのが難しいところもあり、重大な危機に遭遇するまでは、なかなか調整や変化に踏み出せない。

 次に、職場の文化が育んできた職場のルールには、相対的な安定性があり、時には凝り固まってもいて、個人の意思でどうにかできるものではない。

 さらに、「90後」の層も多様化しており、分けて考える必要があり、画一的に考えてはいけない。メディアの報道によって、この層を画一化し、誇張するところがある。調査によると、「90後」の平均転職率は1年に0.91回で、1.09年に1回転職している計算になるが、転職経験のない人は40%を超え、1回だけ転職したことのある人は34%と、「90後」のほとんどは転職を頻繁に繰り返してはいない。言い換えれば、調査サンプルがどれくらいあるか、対象となった業界・企業をどう選択するかが、この層に対する総括と判断に影響するのであり、私たちの理解もまた全面的ではないということだ。

 否定できないのは、「管理しづらい若者」は職場文化に何らかの衝撃を与えることだろう。しかし、雇用機関はこの影響に対処し、変化するとき、段階的に行い、ラディカルに行うべきではない。たった一晩ですべてを徹底的に変えるのは不可能だ。職場の文化や生態圏が一度形成されれば、そこには革新的な側面もあれば、保守的な側面もあり、若者は既存の職場文化に大きな衝撃を与えることはできるが、総合的な判断が難しい時は、やはり管理者と若者との接触やぶつかり合いのなかで、相互に適応・調整し、変化していかなければならない。一方的に相手に譲歩させるのではなく、期待を抱きつつ、より長いスパンで検証していく必要がある。


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