【自民党総裁選】候補らが安倍前首相への “忖度合戦”、安倍傀儡政権誕生の疑念
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「自民党総裁選(9月29日投開票)」が安倍晋三・前首相への忖度合戦の様相を呈している。最大派閥の細田派の実質的なトップと見られる安倍氏と総裁選候補が相次いで面談、支援をしてもらおうとご機嫌伺いをしているようにみえるのだ。
いまだにキングメーカーとして君臨ぶりを物語ったのが、8月26日に出馬表明をした岸田文雄・自民党前政調会長の変節だ。安倍・菅政権時代の疑惑について「国民が納得するまで説明を続ける」などと真相解明をさらに進める姿勢だったのに、9月4日に安倍氏が高市早苗氏・前総務相の支持表明をした3日後の7日になると、「森友問題の再調査などは考えていない」とトーンダウンしてしまったのだ。
岸田氏は「従来のスタンスとまったく変わっていない」として安倍氏への忖度を否定したが、「高市氏支持に焦って軌道修正をしたのか」との見方が広がった。出馬表明直後は「疑惑に斬り込む戦闘力がアップ」「武将になった」と称賛されたのに、今回の発言修正で「長老に擦り寄るご機嫌伺いか」といった疑いの眼差しを向けられるようになったのだ。
そんな岸田氏よりもさらに擦り寄っているように見えるのが、出馬会見前夜に安倍氏宅を訪ねた高市氏だ。8日の出馬会見では、安倍政権時代の疑惑(森友・加計問題、桜を見る会問題、河井夫妻買収事件)については触れず、当然、真相解明への意気込みを語ることはなかったのだ。
質疑応答に入っても不可解なことに、安倍政権の疑惑解明に関する質問は1つも出ることはなかった。そこで会見終了直後、大声で「森友再調査しないのか」と叫んだ。ずっと手を挙げ続けていたのに質問者として指されなかったためだ。
――安倍傀儡政権になるのではないですか。森友再調査について一言。赤木ファイルの公開、森友再調査をするのか。一言、答えてください。岸田氏は(再調査)しないと言っていますが、安倍氏の疑惑に触れないのは忖度しているせいですか。一言、お願いします。再調査をするのか、森友。聞こえているでしょう。
高市氏 いま聞こえておりましたので、答えさせていただきます。森友の問題に関しましては、1人の公務員の方が、大変精神的にも体力的にも追い詰められ、そして役所の正義を疑い、悩み、命を絶たれたという、本当に気の毒な事件でございました。まずは、ご遺族の方々のお悲しみに――。本当に耐えがたい、お悲しみだと思います。お悔やみ申し上げます。
私がやりたいのは、今後、こういう改ざん、文書の改ざんが絶対に起こらない、どこの役所でも起こらない、官邸のなかでも起こらない、そういう体制をしっかりとつくっていくということでございます。すでに行政機関で調査された上、今、お答えしにくいのは、民事の裁判になっていると聞いているため、裁判中の案件については、お答えは差し控えさせていただきますが、ただ、再発防止にはしっかりと取り組んでまいります。
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理由が不明だったので、筆者は「再調査しないのは安倍氏への忖度ではないですか。配慮をしているのではないですか。安倍氏の支持をもらって総理になりたいと思っているのではないですか。(安倍)傀儡政権といわれるのではないですか」「安倍氏に言われたのですか、再調査しないように」と再質問をすると、高市氏は「言われていません。やじらないでください。お願いします」と答えた後、お礼を述べて会見を終了した。
総裁選の構図が浮き彫りになってきた。最大派閥の数の力を背景に、安倍前首相が政権時代の疑惑にメスを入れない“忖度(ゴマすり)”候補らの間で競わせるというものだ。その狙いは、忖度しない石破茂政権の誕生だけは絶対に阻止することだ。かつて脱原発を訴えていた河野太郎行政改革担当大臣も安倍氏と面談して原発再稼働を認める発言をするなど、“忖度(ゴマすり)”候補となる可能性が高い。石破氏が出馬しない限り、古き自民党が変わる可能性は限りなくゼロに近いだろう。石破氏が出馬するのか否かが注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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