東アジアでも戦争危機、日本国民は平和憲法を捨てるのか~根幹シリーズ(4)
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19世紀前半まで中国・清帝国はアジアの大国、いや世界の大国であった。1840年アヘン戦争の敗北以降、名誉を重んじる中国にとって屈辱の100年間であった。イギリスに始まり、後進国・日本にまで国土を蹂躙された。1949年、中華人民共和国として国替えを果たしてようやく西洋列強の侵略をストップできた。それから試行錯誤の30年を経て1980年前後から経済成長期に突入した。以来30年間、経済大躍進を持続させた。今やアメリカに迫る第2の経済大国としての地位を確保した。そうなると伝統的と言うよりも核心的な遺伝子、すなわち『中華』という大国意識がムラムラと蘇ってくる。覇権意識である。
この覇権意識を背景にまず緊張感を生みだしているのが、南シナ海域だ。「南シナ海は昔から中国の海」という理屈を並べたてて人工島建設を完了した。【我が海化】に成功し、島を軍事要塞に変貌させた。当然ながら、周辺国、とくにベトナム、フィリピンなどとの緊張関係を発生させるところまで、事態は深刻化した。昔々、中国は「後進国の国々と平和連合を組む」と高らかに宣言していたが、いまや「アメリカ帝国」との世界の覇権争いに挑戦する野心を剥き出しにしている。屈辱の100年(西洋列強、日本の侵略を許した時代)から解き放されて世界の巨人となる道を疾走し始めているのだ。
日本防衛の危機として北朝鮮の核武装化があげられるが、この問題は関係国の連携で食い止めることが可能である。また、北朝鮮には長期戦を行う力はないのがせめてもの救いだ。だが南シナ海、尖閣列島をめぐる中国との対立は長期戦が予想される。筆者の世代までは中国に対する歴史的な贖罪(侵略した事実への負い目)を背負って向かい合ってきた(言わば「親中」の気持ちを抱いてきた)。ところが中国の経済発展を目の当たりにしてきた日本の若い世代の大半は嫌中意識を抱いている。これが厄介だ。
【戦争危機の恐れ】を無意識に感じ取りながら、日本国民は今回の参議院選挙で改憲勢力に3分の2を超える議席を与えた。1945年8月、第2次世界大戦に敗北して以降、現在の日本国憲法の元で国家経営は行われてきた。この人類史上初の「戦争しない憲法」と賞賛された憲法を切り捨てる選択をしたのである。しかも、戦後の平和体制を切り捨てるかどうかの重要な歴史的な分岐点でさえ、投票率は54%程度なのだ。安倍政権の【改憲隠し】の巧妙な選挙戦に翻弄された日本人に未来はあるのだろうか!!
(つづく)
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