学校を辛いところにする大人たち
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は学校教育制度を根底から変えるべきだと訴えた10月14日付の記事を紹介する。
子どもの自殺増加が報じられた。
2020年度に自殺した生徒や児童が初めて400人を超えた。
また、いわゆる「不登校」児童・生徒が19万人を超えた。
いずれも過去最高。
調査した文部科学省は「極めて憂慮すべき結果で、コロナ禍による環境変化が大きな影響を与えていることがうかがえる」としている。
鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著
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第5章 変わりゆく教育
で教育問題を多面的に論じている。
私たちは、日本の教育のあり方について根本から見直すべき局面にある。
文科省の調査結果によると、2020年度に自殺した児童生徒は、小学生が7人、中学生が103人、高校生が305人の合計415人。
前年度から100人近く増加。
10年前の水準と比較すると2.7倍に達している。
また、学校を30日以上欠席した小中学校の「不登校」生徒・児童数は前年度から1.5万人近く増えて19.6万人に達した。
「不登校」の子どもの比率は、10年前比較で小学生は3倍の100人に1人、中学生は1.5倍の24人に1人になった。
他方、2020年度に認知されたいじめの件数は、小学校で42万件、中学校で8万件、高校で1万件、特別支援学校で2千件の合計52万件。
過去最高になった2019年度比で9.5万件減少し、いじめの定義を変更した2013年度以来、7年ぶりの減少になった。
背景にコロナによる子ども同士の接触の減少、学校の休校増加などが影響していると考えられるが、絶対数の多さは依然として深刻な状況だ。
2020年度の子どもの自殺者数は415人とされたが、警察庁の調査では500人を超えており、学校や教育委員会が全体を把握していないことがうかがわれる。
自殺の原因で最も多かったのは「不明」で全体の半数以上に達している。
15歳から34歳の若い世代での死因のトップが自殺になっている。
これはG7諸国のなかで日本だけの特異な現象。
日本における若年層の自殺は極めて深刻な状況だ。
自殺の原因の半数以上が不明とされているが、厚生労働省がまとめた2020年版自殺対策白書では、20歳未満の自殺者についての遺書などから推定できた原因・動機では「学校問題」が最多になっている。
「いじめ」問題が依然として深刻であり、「いじめ」などを理由に子どもがかけがえのない命を絶つという悲劇が広範に広がっている。
日本国憲法は「教育の義務」を定めているが、多くの国民が誤解している。
「学校に行く」ことが義務なのではない。
日本国憲法が定めているのは「子女に普通教育を受けさせる義務」であり、その費用については「無償とする」ことを定めている。
事態を複雑にしているのが「学校教育法」である。
「学校教育法」が保護者に対して、一定の年齢の子どもを学校教育法第一条が定める学校に就学させる義務を定めている。
このことから、子どもが学校教育法第一条に定められている「学校」に行くことが義務であると勘違いされている。
憲法が定めるのは、子女に「普通教育」を受けさせる義務であって「学校教育」を受けさせる義務ではない。
つまり、学校以外に普通教育を提供する場があれば、普通教育を受ける場を「学校」に限定する必要がないのだ。
諸外国では普通教育を受けることのできる場を学校以外に拡大している国が多数である。
その代表が家庭での学習だ。
ホーム・スクーリング、ホーム・エデュケーションなどと呼ばれている。
また、日本が批准している「子どもの権利条約」は、
「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、(中略) 児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」
と規定している。
平たくいえば、子どもは「学校に行かない自由」を有している。
日本でも学校以外の場における普通教育を正規の教育として認定する必要がある。
同時に学校に行かない選択をする子どもを「不登校」というネガティブな言葉で表現することを廃すべきだ。
本当の意味で子どもの人権を守る取り組みが求められている。
※続きは10月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「学校を辛いところにする大人たち」で。
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