『脊振の自然に魅せられて』第16回脊振クリーンアップ登山(後)
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トイレ問題
椎原バス停はトイレがあるが、快適に利用できるような代物ではない。まるで昭和初期の仮設トイレに等しく、とくに女性の利用には不向きで、おまけに手洗いもない。そのため、イベント開催時は、近くの椎原公民館のトイレを毎回利用させてもらっている。
10月3日(日)は晴天に恵まれ絶好の「登山日和」となった。早良区役所を午前7時に出発したマイクロバスは予定より早く椎原バス停に着いた。到着早々、公用車から荷物を下ろし、幟たて、受付用の机の組み立て、検温、消毒の準備をして受付開始作業に入る。これらの作業は学生たちが積極的に行う。
参加者たちに「早めにトイレを済ませて」と伝え、筆者も早めにトイレを利用した。公民館の玄関には町内会長の気配りで「脊振の自然を愛する会様」「歓迎」と書かれた手づくりの大きなポスターが貼ってあった。また、集合場所のバス停には副会長が出迎えてくれた。
レスキューポイント設置
午前8時を過ぎ、バス組が到着。「検温」「消毒」「受付」と色別にしたグループの名札を渡す。今回は受付が混雑しないようにと事前に5グループに分けていた。各班のリーダーも、それぞれワンゲルOBの会員が担当することにした。
トランシーバー(3台)の無線確認、オリエンテーション、学生の指導による準備体操、集合写真の撮影を済まし、脊振山へ向けてグループごとに出発。里山のアスファルト道を脊振山に向けて進んでいくと青空にコスモスの姿が映えていた。集落を抜け、林道を進むと問題の土砂崩れ現場に到着。「土砂崩れを見て参加者が恐怖心を味わうのでは」と心配したが、登山経験の初心者も無事通過した。
登山口に着くと、すでに先行組が昨年リニューアルした登山地図を参加者たちに見てもらっていた。先輩 Tは「苦労してレスキューポイントを設置したとばい」などと熱弁をふるう。参加者たちからは「明るくて見やすいですね」と概ね好評だった。
リニューアルした登山地図は、脊振の自然を愛する会会員でプロのイラストレーターに制作してもらったもの。また、NTTドコモの協力により、緯度経度と現在地の地図をQRコードで読み取れるようにして、福岡市のホームページにある登山地図にリンクしている。
各地点のレスキューポイントも参加者に確認してもらった。レスキューポイントは設置するだけではなく、登山者への啓蒙が最も重要で、設置の認知度をあげることが筆者の願いでもある。
脊振山頂広場に到着
最後尾グループを担当する筆者は時折、トランシーバーで現在地を知らせた。無線持参のリーダーから「了解」の返事がある。休憩を挟みながら登山道を進み、縦走路にかかる矢筈峠を上り詰めると各グループはすでに休憩をとっていた。10月なのに真夏日となり、歩くと汗ばんだが、青空が目にまぶしく、時おり吹いてくる風が気持ち良い。縦走路ではアキアカネの群れが飛び回っていた。アキアカネは夏を山中で過ごし、涼しくなると平地へ降りてくる。
矢筈峠から脊振山駐車場までは気象レーダーのメンテナンスのため舗装道路となっている。ゆるい登りとなっている舗装道路を5分ほど進むと右手に視界が開けてくる。ここから秋風に揺れるススキを通して有明海や筑後川が見える。その奥に雲山がぼんやり浮かんでおり、参加者たちはこの展望を楽しんでいた。
九州自然歩道の道標を横目にブナ林に囲まれた木道を歩き続けると脊振山頂広場に到着した。すでに着いた参加者は東屋で休憩をしていた。暑かったため木陰で休憩する参加者も多かった。休憩時間は40分。昼食後、体力のある者は歩いて10分の脊振山まで登っていた。
クリーンアップ登山が無事終了
福岡方面からは自衛隊道路を利用して脊振山駐車場へ来ることができるし、佐賀方面からも車を利用できる。早良区の板谷集落に続く県道は土砂くずれで改修工事中である。安全のため区役所のマイクロバスは小笠峠―那珂川―五箇山ダム―自衛隊道路経由で山頂まできてもらった。リタイア組の送迎と途中で拾い集めたゴミ回収も兼ねてである。
日曜日だったことあり20台ほど駐車できる駐車場はすでに満車状態だった。2年ぶりに山を歩いた高齢男性、高齢女性、応援に駆けつけた登山ショップの U社長も午後から勤務があるためバスを利用。沢で転んで打撲を負ったワンゲルの学生を含めた4名がバスに乗車した。
下山の際、登山途中で集めた弁当殻などのゴミを学生たちが撤収していた。予定通り、椎原バス停に各グループが到着。バス利用組は、交通の便が良い脇山小学校までマイクロバスで送り届けた。ここからだと西新―天神―博多駅と乗り換えなしで路線バスを利用できる。
2年ぶりの脊振クリーンアップ登山が終了した。何よりも好天に恵まれたのが一番だった。10月15日 早良区役所にて関係者5名で反省会を行う。
アンケートの集計を行うと「楽しかった、また参加したい」が 96% 、高齢女性1人が趣旨を勘違いして参加していた(マイクロバス利用で下山)。レスキューポイントは全員が確認していた。
毎年、クリーンアップ登山を続けていることもあり、登山道でのゴミは激減した。ただ今回は林道に大量の弁当殻があった。また、不要になった冷蔵庫やクーラーなどの不法投棄があるらしく、町内会で毎週処理をしていると聞いた。区役所も不法投棄パトロールを定期的に行っているとのこと。
今回の参加者は以下の通り。
・一般参加者13名
・脊振の自然を愛する会8名
・西南学院大学ワンゲル8名、
・筆者の知人8名
・早良区役所・市職員3名
<合計>40名(当日欠席2名)(了)
2021年10月19日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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