【総括:衆院選2021】共闘で「大金星」可能だと実証
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「野党共闘」一定程度の効果発揮
第49回衆院選の投開票が10月31日に行われ、自民党は261議席を獲得、いわゆる絶対安定多数(全常任委員会で委員長独占と委員の半数確保)を確保した。「自民党の単独過半数(233議席)は微妙」という予測が相次ぐ中、野党共闘で一対一に持ち込んだ激戦区の多くで自公候補が競り勝ち、最終盤で組織力の違いを見せつけるかたちとなった。
自民公認の現職の中村裕之候補(公明推薦)が696票差で、野党統一候補の立民新人の大築紅葉候補に競り勝った北海道4区もその1つ。投票日直前の世論調査では読売新聞も朝日新聞も大築氏が一歩リードと報じ、自民党の調査でも「猛追で逆転された」だったが、「最後の“3日戦争”で、札幌市議ら地方議員にかつてないほどの締め付けがかかって中村氏が再逆転をしたようだ」(道政ウォッチャー)。
北海道4区だけではない。辻元清美副代表が落選した大阪10区をはじめ、野党優勢だった小選挙区が最後の最後で引っくり返されたとみられるケースが全国各地で続出した。その結果、自民党は大幅な議席減を回避する一方、110議席から30程度の増加が予測されていた立民は14議席減の敗北を喫したのだ。
しかし、野党共闘は一定程度の効果を発揮した。神奈川13区で敗れた甘利明幹事長は比例復活したもの、幹事長が小選挙区で敗れたのは初めてで辞意をすぐに表明したが、そんな大金星をあげた太栄志氏も野党統一候補だったのだ。
東京の小選挙区でも、4年前の総選挙では4議席に止まったが、今回は野党共闘が進んで8議席に倍増した。その象徴的な選挙区が、立民公認の吉田晴美候補が石原伸晃・元幹事長に勝利した東京8区だ。
いったんは8区からの出馬表明をした山本太郎代表が反発を招いて撤回、共産党の上保匡勇候補(元杉並区議)も出馬を取り下げ、吉田氏が野党統一候補として石原氏と対決することになったのだ。しかも、混乱した経緯を吹き飛ばすかのように山本代表と吉田候補が10月22日に共同街宣、消費税5%減税や貧困問題への取り組みで一致していることをアピール。そして「消費税15%(石原氏主張)対5%の戦い」とも強調した山本代表は、吉田氏とともに国会で会うことを誓って別れるほどだった。
れいわ、3議席獲得
紆余曲折を経ながらも一致団結をした東京8区はメディアが大きく報道、注目選挙区の1つとなったが、その投開票結果が出たのは31日午後8時ちょうど。すると、杉並区内の小劇場に集まっていた支援者から大きな拍手が沸き起こった。しばらくして現れた吉田氏は花束を受け取った後、「野党統一候補として、全国の方から『吉田頑張れ』という声をいただいた。市民と野党が一丸となって大きな成果を上げられた」と挨拶した。
共同街宣をした山本代表について聞くと、吉田氏は「大変感謝しています。一緒に貧困問題に取り組みたいと思います」と語った。
山本代表に当確が出たのは翌11月1日未明。比例東京ブロックで1議席を獲得、2019年参院選以来2年ぶりの国政復帰となったのだ。
その後も比例南関東ブロックと比例近畿ブロックでそれぞれ1議席を獲得、千葉11区で敗れた多ケ谷亮氏と大阪5区で敗れた大石晃子氏が復活当選をして合計で3議席。参院議員2名と合わせると、5議席に達した。「永田町の空気を読まないミサイルを、あなたの手で打ち込んでください」(山本代表)という訴えが実ると同時に政党要件を満たし、政党要件をスタジオ出演の条件にしていたNHKも山本代表を呼ばざるを得なくなったのだ。
立民と共産は議席を減らしたものの、選挙共闘によって自民党大物議員からの大金星が可能であることを実証した。と同時に、れいわが一議席から三議席へと三倍増をしたのは、山本代表の発信力の賜物といえる。とすれば、野党陣営は発信力をアップして争点を明確化、神奈川13区や東京8区のような注目選挙区を次々と増やして選挙戦に臨めば、自公に勝利する可能性は十分にあるに違いないのだ。
【ジャーナリスト/横田 一】
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