2024年12月23日( 月 )

上越新幹線活性化の必要性-新潟空港における航空機と新幹線の連携(中)

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運輸評論家 堀内 重人 氏

庄内地方への延伸はあるのか

上越新幹線 イメージ 上越新幹線は、現状の新潟止まりでは、少々中途半端な感じもする。沿線自治体などは、羽越・奥羽新幹線として、新青森までの延伸を望んでいる。羽越・奥羽新幹線は、1973年11月15日に、全国新幹線整備法により告示された新幹線の基本計画路線の1つである。実現すれば、北陸新幹線、上越新幹線、北海道新幹線とともに日本海側を縦貫する新幹線の一部を構成する路線となる。これが完成すれば、首都園を経由せずに西日本と北日本を往来することが可能になる。

 「山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟」は、羽越新幹線がフル規格の新幹線で開業した場合、上越新幹線と在来線を新潟駅で乗り継いだ場合と比較して、東京~酒田間の所要時間が、現行の3時間55分が、約2時間40分に短縮されるという。

 また秋田に関しては、現行の所要時間である約5時間50分が、約3時間に短縮されるとしている。現在の秋田新幹線は、盛岡~秋田間がミニ新幹線であるため、東京~秋田間の所要時間は、最短でも3時間37分を要しているが、羽越・奥羽新幹線が完成すれば、東京~秋田間のメインルートが、羽越・奥羽新幹線に移行することになる。

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 2020年3月に、羽越・奥羽新幹線建設促進同盟会の関係6県合同プロジェクトチームが費用対効果の算出を行った。「羽越・奥羽新幹線の早期実現に向けた費用対効果算出等業務調査報告書」によると、富山~新青森間の所要時間が、現行の4時間28分が、3時間2分へと1時間26分も短縮される。富山~新潟の所要時間が、現行の2時間25分が、約半分の1時間13分へと、1時間12分も短縮される。新潟~秋田は、現行の3時間半が、1時間1分と2時間29分の短縮が実現するという。また羽越・奥羽新幹線関係の6県合同プロジェクトチームが、東京を起点としたところ要時間の短縮効果を、2021年6月21日に発表している。発表では、東京~鶴岡間の所要時間が2時間21分に短縮され、秋田~新青森間の所要時間が、46分になるという。

 ただし問題は、莫大な建設費である。1996年には、政府が国・地方・JRの負担割合の見直しを行った。JRを「第二の国鉄」にすることを回避するため、JRは受益の範囲を限度としたリース料となり、国がJR負担分を除く3分の2を、「公共事業費」「既存新幹線譲渡収入」で負担する。そして地方が、JRが負担する分を除く3分の1を負担することになった。

 これだけ見れば、地方の負担が重いと感じるかもしれないが、地方負担分の9割は、地方債の起債が認められた。償還の際には、元利償還金の標準財政規模に占める割合に応じて、元利合計の5割から7割に対して、地方交付税としてキックバックが実施される。そうなると地方の実質的な負担は、2割弱の約12%~18%となる。

(つづく)

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