名護市議が告発「名護版モリカケ事件」(不正入札疑惑)(後)
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最大の疑問は、市長親族会社の子会社への市有地売却がなぜ市議会を通ったのか、ということだ。
「市議会への説明には、市長親族会社の子会社の名前が伏せられ、『名護市を所在とする新規法人』としか書かれていなかった。名護市から大和ハウス・アベストJVに売却する契約が結ばれる図(スキーム)も示されていたので、このJVが地元に新規法人を立ち上げると我々は理解した。ところが実際には、JVが新規法人を設立するのではなく、『サーバント』が金武町から名護市に移転、市有地の所有権を継承したのです。市議会での説明内容と実際の事業スキームが食い違っている。当然、『サーバント』に所有権が継承されることについて再度、市議会にはかる必要が地方自治法上あるのですが、これを市はしなかった。市有地売却について調査する特別委員会(百条委員会)が設置されたのはこのためです」(東恩納市議)
たしかに地方自治法は、2,000万円以上の不動産売買については議会の議決に付さなければならないと定めている。しかし市は、地方自治法違反には当たらないと次のように反論している。
「共同企業体を相手方として有効な土地売買契約を締結しており、本件契約の権利の継承の承認はこの有効に成立した契約に基づいて行ったものであること。土地等の所有主体が現地法人となる旨は当初より予定されており、議員にも説明がなされていることに鑑みると、権利の継承の承認は売却の相手方を変更するものではなく、また、別の新たな売買契約を本市が締結したものでもないため、再度の議決は必要なかったものと考えております」(12月9日の企画部長の議会答弁)
市が説明する新規現地法人は、市議が抱いていたイメージと大きな差があった。その認識のギャップを生むのは、市議会向けの説明資料。そこには、「名護市から市有地を売却された大和ハウスとアベストのJV(企業体)が、地元に新規法人を設立して、そこが土地建物を所有賃貸管理をする」という内容になっていたからだ。「市と売買契約を結んだ大企業が地元新規企業を立ち上げ、地域住民を雇用するなどして地元にお金を落としてくれる」という期待感を抱かせる説明だったのに、現実は近隣の金武町からの企業移転で民家に看板がかかっただけにすぎなかったのだ。
しかし市議会向けに文書を書き換えて虚偽の説明をしたのではないかという公文書改竄(偽造)の疑いも浮上してきたともいえる。
公募型プロポーザルでは総合評価をする(各項目に点数をつける)ため、市長の意向を忖度する委員たちが恣意的な評価をした可能性がある。渡具知市長に対する“忖度疑惑”は、公文書改竄(偽造)疑惑とともに闇に包まれたままなのだ。
“名護版モリカケ事件”は渡具知市政の評価に関わる疑惑でもあることから、「名護市長選(2022年1月23日投開票)」の争点の1つになる可能性は十分にある。今後、疑惑解明がどこまで進むのか、辺野古新基地建設とともに市長選の大きな争点になるのか否かが注目される。
(了)
【ジャーナリスト/横田 一】
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