中国経済新聞に学ぶ~厳しい局面に置かれる中国経済【特集「2022年中国経済の展望」(2)】(前)
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清華大学中国経済思想・実践研究院院長・社会科学学院教授の李稲葵氏が2021年12月2日、新浪経済の年次総会兼第14回金麒麟フォーラムで講演し、中国経済について強い懸念感を示した。向こう数年間は改革開放以降で最も厳しい局面に置かれるのではないか、とのことである。
以下、李教授の講演の一部を紹介する。
まず自分自身の見解として、中国経済はおそらく向こう何年か、かなり厳しい状態に置かれるだろう。これからの5年間は、改革開放から40年余りが過ぎたなかで、最も大変な時期になるだろう。決して楽観視してはならず、表面的に見て一番の問題は内需の後退である。 まず現在、一般庶民の需要が旺盛であるとはいえず、「独身の日」の消費の成長割合は20%以下となり、通販の売上が以前のような活況状態ではなくなっている。その大きな理由として、まず所得が思うように伸びず、可処分所得の成長がGDPとほぼ同じ速さになっていることが挙げられる。次に、本来消費層に加わるべき農村もしくは都市部の出稼ぎ労働者に対して、都市部でまったく同等に居住する権利が与えられておらず、この膨大な人口の需要がうずもれている。
さらにビジネス関連で、投資の対象が定めにくい状況にある。ここ半年ほどかなりの企業関係者と付き合ってきたが、いずれも「どこに投資しようか、金融でなく実体経済に投資するならどういった分野がいいだろうか」などと方向性が定まらない様子である。今、かなりの産業が国の規制を受けているが、資本のむやみな拡大を防ぐためにもこうした政策は100%支持していかなくてはならない。しかしいずれにしても新たな方向が必要な中、不動産が下り坂で、投資家も消費者も、住宅の購入も模様眺めの状態である。地方の財政も逼迫しており、多くは実体経済でも投資先が定まらず、また教育関連も改革が必要、エンタメ産業も政府からかなりの規制を受けることになる。これらが内需の後退といった部分である。
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中国経済新聞に学ぶ~政治局会議から見る2022年の中国経済動向こうした事態になったのは、これまで長らく持ちこたえていた分野が後退しているためと見られる。たとえば不動産では物件の購入や内装といった需要で家具の成長をもたらし、また自動車については購入することで産業の川上から川下まで成長してきたが、こうした従来の産業が頭打ち、あるいは下り坂に向かい、新たな需要も出てこないのである。
その新たな需要や成長先であるが、ハイレベルに中国経済を語れば、2つの希望がもてる。1つは、大部分が農村にいる中間所得層に満たない10億の人口である。大人は出稼ぎに行き、お年寄りや子どもは地元に残っている。この10億人の中間あたり、少なくとも4億人を15年間かけて都市部に集め、定住させて中間所得層に加わらせること、これがその希望である。
この10億人はほとんどが身体も健康で、9年間の義務教育を受け、言葉の読み書きも問題なく、標準語が話せるし、仕事の手順書を与え、注文の処理法や弁当の配送方法を教えてもまったく問題なく対応できる。労働スキルもあり肉体的にも問題ないのである。
次第に年もとり、もう若いとはいえないが、働く意欲は十分である。インドやタイなどの東南アジア各国と比べても、この10億人はやる気十分なのである。
(つづく)
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