ゲーム業界の可能性を押し広げるNFTゲーム(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏NFTゲームとは?
世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの産業が苦境に陥っている一方で、外出が抑えられる生活様式の普及がプラスに働き、売上を伸ばした産業もある。その1つがゲーム産業だ。
新型コロナウイルスの感染拡大はデジタル化の促進と巣ごもりをもたらし、ゲーム産業にとっては需要拡大につながっている。グローバルインフォメーションによると、2020年の世界ゲーム市場は前年比9.05%増の1,679億米ドルの規模に達した。
ゲーム産業が伸びるなか、ゲームを楽しみながらお金を稼ぐという新しいコンセプトのゲームが登場し、人気を集めている。ゲームで獲得した仮想通貨を現金に換金したり、アイテムやキャラクターをNFT(非代替性トークンと呼ばれる暗号資産)化して、ユーザ同士で売買したりして収益を発生させる。
このようなゲームを「NFTゲーム」と呼び、「遊んで稼ぐ」という意味のP2Eともいう。P2Eは「Play to Earn」の略称で、ネット上でゲームをプレイして仮想通貨を稼ぐことから、このように呼ばれている。ブロックチェーンという技術と仮想通貨の活用によって、プレーヤーに収益を分配できるシステムが出来上がったのだ。ゲームに勝つと仮想通貨をもらえて、換金できる仕組みである。そして、ゲーム内のアイテムやキャラクターがNFTとなっている点が大きな特徴だ。
このようにNFTゲームは、仮想通貨のベースとなっているブロックチェーン技術を活用したもので、「ブロックチェーンゲーム」ともいう。遊び方は既存のゲームとそれほど変わらず、ネットブラウザやスマホアプリで誰でも簡単に始めることができる。
最も人気があるのが、「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」というゲーム。2018年にリリースされたベトナム発のNFTゲームである。「Axie(アクシー)」というモンスターを集めて育て、戦わせる。勝利すると、ユーザはSLPという仮想通貨をもらえる。その仮想通貨でモンスターをもっと育てたり、お金に換金したりする。
プレイするためには「Axie(アクシー)」と呼ばれるモンスターを3体購入する必要がある。3体の取得には8~10万円ほどかかる。
その費用が負担になる人には、「スカラー」という制度を活用する方法もある。すでにAxieを3体以上持っているプレーヤーからモンスターを借りて、プレイするという制度だ。その代わり、Axieを借りたプレーヤーは稼いだ分の3~5割を貸主に支払わなければならない。
「アクシー・インフィニティ」のユーザの70%は東南アジア人で占められている。とくに平均収入の低いフィリピンでは、このゲームで得た利益で生計を立てる人が出てきているほどだ。一時期、1日のアクセス数が200万人以上となったが、最近になって仮想通貨の価値が5カ月ぶりに10分の1となり、NFTゲームの限界が露呈された。
モンスターを育てたり、ほかのアイテムを買ったりするのに仮想通貨が使われず、ほとんどの仮想通貨は換金されるだけだったため、需要がなく値を下げたわけだ。NFTゲームが今後発展するためには、仮想通貨の需要を喚起する新しいアイデアが求められる。
(つづく)
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