2024年09月07日( 土 )

東証、4月から3市場に再編~8割超が最上位市場選択

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現在、東京証券取引所(以下、東証」)には、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)の4市場がある。4市場となったのは東証と大阪証券取引所が2013年に株式市場を統合した際、上場会社や投資者に影響が出ないようにすべく、それぞれの市場構造を維持したため。

◆4月4日からは、新たにプライム・スタンダード・グロースの3市場に区分されてスタートする。
・2021年4月末現在、東証一部に上場している企業数は2,191社。そのうちの734社(33.5%)は時価総額が250億円を下回っている。また1,012社(46.2%)のPBRが1を下回っているなど、一部上場企業の質の低下が問題となっていた。

~プライム・スタンダード・グロースの3市場について~
(1)プライム市場 
多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)をもち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
(2)スタンダード市場
公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)をもち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
(3)グロース市場
高い成長可能性を実現するための事業計画およびその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場

<まとめ>
流通株式の定義が変わること、またTOPIX算出基準の変更、コーポレートガバナンスの改善、株主優待の廃止などもあるため、持ち合い株や政策保有株式の売り出しが増加すると予想される。 

東証は4月の市場再編に向け全銘柄の移行先を昨日(11日)に発表した。1部上場企業(約2,200社)の8割超が最上位の「プライム」市場を選んでいる。

東証は、投資家が優良企業に投資しやすくするため上位市場の企業数を絞り込もうと図ったが、顔ぶれにほぼ変化は見られない。1割強の300社程度は基準を満たしていなくても、経過措置でプライムに残留できることもあり、当初の狙いが骨抜きになる懸念が残る内容となっている。

【表1】プライム・スタンダード・グロース(3市場)の新規上場基準
【表1】プライム・スタンダード・グロース(3市場)の新規上場基準

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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