2024年12月27日( 金 )

太平洋を挟む覇権争いの歴史的再来~アザーニュース

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(株)Global Ethics経営研究所
代表取締役社長 石塚隆正 氏

 Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している。今回は8月28日掲載の記事を紹介する。

(株)Global Ethics経営研究所 代表取締役社長 石塚 隆正
(株)Global Ethics経営研究所
代表取締役社長 石塚 隆正

    8月は、日本にとって太平洋戦争が終結した月です。広大な太平洋の対岸に位置する2つの国が、制海権をめぐって争いました。

 現在の国際情勢に目を向けると、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の台頭が世界の勢力図を再編しています。中国はこの枠組みを通じて影響力を拡大しており、とくに東アジア・太平洋地域において、その力を顕著に示しています。さらに、戦争の形態も変化しつつあり、従来の海戦や地上戦から、ミサイルやドローンを用いたハイテク戦争へと移行しています。この新しい戦争形態では、遠隔操作や無人攻撃が主戦場となり、戦争のリアリティが大きく変わっています。

 この変化のなかで、2016年以降、台湾と国交を断絶し、中国との国交を新たに締結する国が増加しています。これには、サントメ・プリンシペ、パナマ、ドミニカ、ブルキナファソ、エルサルバドル、ソロモン諸島、キリバス、ニカラグア、ホンジュラス、そして2024年にはナウルが含まれます。これらの国々の動きは、日本が太平洋戦争中に米国の進撃を抑えようとした行動と重なるものがあります。現在、中国が東進し、太平洋の制海権を握ろうとする姿勢は、BRICSの台頭と戦争の新たな局面を背景にしていると見ることができます。
このような状況下で、7月16日からの3日間、東京で開催された第10回太平洋島嶼国首脳会議(PALM 10)では、平和と安定、自由、民主主義、持続可能な開発、法の支配、人権、紛争の平和的解決、環境保全の重要性が再確認されましたが、そこに出席していない米国と中国の綱引きが行われたことは容易に想像できることです。

 一方で、BRICS諸国の一員として台頭する中国は、国内経済の減速、少子化、不動産リスクなどの内部課題を抱えており、成長の維持は不透明です。7月15日からの3日間、中国共産党第20期中央委員会第3回総会(3中総)では「中国式経済現代化」と「共産党の直接介入(指導)の強化」が強調されました。中国式の世界平和を目指しているといえるでしょう。

 このような大国主義の論理に基づく太平洋争奪戦のなかで、BRICSの台頭と戦争技術の進化が進む現在、国際連合は本来の理念遂行を改めて深く考える必要があります。世界戦争を回避し、人類の平穏な日常を守るために設立された国際連合の役割が、今こそ再認識されるべき時がきているのです。

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