内装業から地域プロデュース事業へ 新しい挑戦のカギは「感情」
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クレアプランニング(株)
内装業者として50年余りの歴史をもつクレアプランニング(株)。一方で内装業に特化する業態に限界を感じ、業務へのアプローチを大きく変えるとともに空間プロデュース事業・地域プロデュース事業に乗り出し、「大濠テラス~八女茶と日本庭園と。~」など、業界の内外から高く評価される場を生み出した。「福岡を“おもしろく”盛り上げる」ため、日々変わり続けている。
仕事の枠組み自体をつくり相見積から脱却する
前身であるタイヘイ内装工業が1973年に創業してから50年余りが過ぎた。内装業としての地歩を固め、高い技術で福岡県内外から大きな信頼を得ているクレアプランニング(株)は、空間プロデュース事業・地域プロデュース事業を通じて「福岡を“おもしろく”盛り上げる」ための場づくり、空間づくりに日々邁進している。
「これまでは依頼された仕事を高いクオリティで完了させる、つまりすでにある枠組み=フレームをどう満たすかということで、信頼をいただいていました。今取り組んでいるのは、フレーム自体を自分たちでつくっていく仕事。仕事のきっかけも、子どもの学校の“パパ友”たちとゆっくり話したりするなかから見つけたりしています」と笑顔を見せるのは、代表取締役社長・中田泰平氏。
同社の二代目社長として、2011年の就任から早くも13年。「相見積もりを叩き合う仕事」(中田社長)である内装業に特化する業態に限界を感じ、業務に対するアプローチを根本的に変革した。それが成果として結実したのが第29回福岡市都市景観賞・大賞を受賞した「大濠テラス~八女茶と日本庭園と。~」であり、ABURAYAMA FUKUOKAにオープンさせたライフスタイルストア「NEUTON(ニュートン)」だ。
地域プロデュースに関して、中田社長は「コンテンツづくりは、雑誌の編集に似ている」との考えをもつ。地域をプロデュースし、観光地を活性化しようとするときに必要なのは、まずその地域にどんな要素があり、どんな人々が住んでいるかをリサーチし、サンプリングしていくこと。
「都会って、なんでもあって便利な一方で、無感情じゃないですか。反対に地域には、その土地ならではの個性が、感情として漂っている」(中田社長)。
自然環境や特産物、そこに住む人々など地域が持つ要素を縦軸に、その地域の感情を横軸にして、新しい地域のかたちを織り上げていく。0から1をつくり出すのではなく、すでにあるものを再発見し、新しい角度から光を当てていくことが、同社が手がける地域プロデュースのかたちだ。
新時代ビジネスのカギは人間や企業の「感情」
「これからの企業に求められるのは、“企業感情”だと思うんですよ」(中田社長)。
中田社長の口から、何度も出てきたキーワードが「感情」だ。従来の日本企業文化において、感情とは決してポジティブな意味合いではなかった。むしろ「感情論」「感情的」など、ビジネスシーンにおいては忌避される概念だったといえるだろう。
だが、地域プロデュースの場面では、そこに集う人々の感情がどう動くかは非常に重要なファクターだ。むしろ、つくるものが無機物だからこそ、つくり手には豊かな感情が必要なのではないだろうか。デジタルデバイスの発展やAIの進化などで、人間が持つ機能の多くが代替可能になっている現代において、感情こそは人間独自のもの。「これまで『見積が安いかどうか』が基準でしたが、それが『一緒にやって面白いかどうか』に変わってきた。面白い相手と面白く仕事をしていれば、結果として面白いものができていく」(中田社長)。仕事の流れのうえでは発注・受注の関係性であっても、人間同士が仕事をする以上は面白く仕事ができていれば、発注継続にもつながっていくという面もある。利潤や効率を追求する時代から、感情を重視し面白さを楽しむ時代へ。時代が大きく移り変わるなかで、企業が考えることもまた「金勘定から感情へ」と変わっていこうとしている。
オンリーワンであることが健全な収益を担保する
時代のうねりの、さらに先を行くように変化し続ける同社。その姿を、創業者の先代・中田泰之会長はどう見ているのだろうか。
「会長は『おれにはわからん、だから好きなようにやれ』と言ってくれています。もちろん会社としてちゃんと売上も利益も上げているからだと思いますが、信頼して任せてくれるのは、事業承継という点からもありがたいこと」(中田社長)。
売上・利益を確保できている1つの理由は、同社が提供する地域プロデュース事業は福岡ではほかに競合がいない、ということだ。祖業にあたる家具づくりに始まり、主業の内装業、そして中田社長が推し進める都市や地域のコンテンツづくり・プロデュースまで、いわばミクロからマクロまでを一気通貫で手がけることができるのは、同社ならではの特色である。オンリーワンの存在であることができれば、当然相見積もりを取られ、買いたたかれることもない。
「単純な値下げ交渉ではなく、相手の予算内でどんなことができるかを事前に調整する打ち合わせになります。これはお互いにメリットのあることです」(中田社長)。
同社が切り拓く新しい地域のかたちを支えるのは、新しい発想と新しい仕事への取り組み方。変わり続けることこそ、企業永続化という問いへの1つの回答だ。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中田泰平
所在地:福岡市中央区天神4-7-11
設 立:1981年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-724-1115
URL:https://www.crea-p.co.jp法人名
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