2024年12月23日( 月 )

政治への入口になってみせる それが「れいわ」の使命(2)

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山本 太郎(れいわ新撰組代表)

 ゼロ議席もあり得るとの悲観的事前予測を超える3議席(実質的には4議席)を獲得した、山本太郎代表率いる「れいわ新選組」が再び、永田町に“旋風”を巻き起こす兆しが出てきた。総選挙で最後の1議席(近畿比例ブロック)に滑り込んだ“維新キラー”こと大石晃子衆院議員が、維新副代表の吉村洋文・大阪府知事に文通費(文書通信交通滞在費)問題で特大ブーメランを浴びせ、日曜討論でも「大阪は人口あたりのコロナ死者数は国内最大」と維新への批判を炸裂させるなど、議席4倍増で勢いづく維新の出鼻を挫(くじ)く斬り込み隊長役をはたしたのだ。

維新とれいわのバトル激化~維新を「怪物」に育てたのはテレビ

 ──国会初登院日(11月10日)の新宿街宣では、自民党以上に改憲に前のめりの維新を「火事場泥棒」と批判。20年秋の大阪都構想住民投票のときも維新批判の急先鋒になった。「維新は危険な政党」と見ているのか。

 山本 一言でいえば、自民党よりもひどい。新自由主義の先頭を走る政党という認識です。加えて、自民党と力を合わせて憲法改悪を進めようとしている。危険です。ひどい自民党があって、それを上回るひどさの維新があって、互いに連携している。お仲間なのです。維新は自民党を批判しているところもあるので、「新しい世の中をつくってくれる」みたいな勘違いをされている方もいますが、違いますよ。両党はほぼ一体に近い。「維新は自民党と補完関係にある」ということを意識する必要がある。日本経済が25年間停滞して不況が続くのは、自民党が間抜けな政策(緊縮財政)をしてきたためで、日本の未来を考えたら自民党は崩壊してもらうしかないのです。その一方で、自民党を上回る新自由主義的な政策を推し進めようとしている維新。当然、この2つの政党に対抗していくのは絶対に必要なことです。

 ──与党と野党の中間の「ゆ党」とも呼ばれる維新は野党の顔をする時もある。

 山本 竹中平蔵さんみたいなものでしょう。都合によっては慶応大学教授を名乗り、あるときは東洋大学教授を名乗り、あるときはパソナを名乗るという具合です。いろいろな顔をもっていますが、「結局、搾取する側でしょう」ということには違いがない。

 「維新が悪である」というつもりはありません。それぞれ異なった政治的な考えをもった別々の政党を立ち上げているわけで、だから「れいわ」という政党もあるし、「自民」「維新」「公明」「共産」という政党もある。考え方、世界観が違うということにすぎないのですが、そのなかでも維新の何が悪質なのか。それは、セコイことをたくさんやっているということです。たとえばグラフで表したときに目盛が大きく見えるように小細工したりとか、大阪の経済は全国平均を下回っているのに「大阪の成長を止めるな」という詐欺的なスローガンを掲げて、成長し続けているかのように演出する。

れいわの宿敵、維新のトップ2
れいわの宿敵、維新のトップ2

    こうした維新の手法のずるさには「ちょっと待ってよ」と突っ込まないといけないのですが、一番まずいのは維新の存在自体ではなく、維新の存在を肥大化させているマスコミ、とくにテレビ局の姿勢です。関西のテレビ局は魂を売っていますから、死んでいますよ。ある意味では真っ当な商業主義に則っている。企業側の利益になる政治勢力を応援しているだけ、というシンプルなものかもしれない。たとえば、民間の力を活用していこうとどんどん民営化をして、いろいろなものをコストカットしていく。そして公金を民間にも流していくような、カジノや万博を進めるような政治が当然、テレビにとっては都合が良い。そういった類の政策から生まれるものにはCMというお土産もついてきますから、メディアにとっては特需を生み出すことになる。維新を「怪物」にしているのはテレビメデイアですよ。大阪での集会(おしゃべり会)で「テレビがDappi(※1)化している」と言いましたが、このことはテレビだけではなく新聞も含めて広告収入で成り立っているメデイア全体にいえることです。

 ──NHKの日曜討論で大石晃子衆院議員が維新批判(※2)をして注目されました。5議席獲得したことでようやく日曜討論に出られるようになったが、このことは大きい?

 山本 大きいですね。大石議員もそうですが、多賀谷亮衆院議員(比例南関東ブロック)も魅力的な政治家ですので有権者に育てていってほしいなと思います。「れいわには、山本以外にもこれだけ魅力のある人がいますよ」ということを打ち出していく必要があるのです。そういった意味で、メデイア出演の機会はみんなで回していきたいと思います。

(つづく)

【まとめ/ジャーナリスト 横田 一】

※1 Dappi=ツイッターアカウント。自民党を賛美するとともに、野党(とくに立憲民主党)攻撃を盛んに行って約17万のフォロワーを獲得していた。昨年、発信元情報が開示され、自民党と取引関係にあった企業が同アカウントを運営していた疑惑がもたれている。 ^
※2=大石氏の異名は“維新キラー”“維新バスター”。昨年11月10日の新宿街宣では、維新を次のように批判した。「大阪は維新の本拠地だが、医療崩壊がワースト。コロナで亡くなった方は全国一多いのに、どういうわけか関西のメデイアが維新のコロナ対策がうまくいっていると報道するので吉村知事の人気が非常に高い。吉村さんの人気で維新が大躍進しているという状況。本来なら『コロナ対策をまともにやれ。お金を配れ。給付金配布を早くやれ。飲食店だけいじめるな。他の産業の人もダメージを受けているので全産業にお金の補償をしろ』という話なのが、そこを(吉村知事は)ケチったまま人気を保っている。それで火事場泥棒的に調子をこいて、『もっと人流を抑えたいから憲法を変えて皆さんの自由を制限する。これがコロナ対策だ』という訳のわからないことを言っている」^


<プロフィール>
山本 太郎
(やまもと・たろう)
1974年11月24日生まれ。兵庫県宝塚市出身。91年1月、私立箕面自由学園高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場して芸能界入り、同年俳優デビュー。数々のヒットドラマや映画に出演。2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞、03年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。11年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。13年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬し66万6,684票を得て当選。14年12月、政党「生活の党と山本太郎となかまたち」に合流し15年1月に共同代表。16年10月、政党名を「自由党」に改称、共同代表。18年11月、文教科学委員会、東日本大震災復興特別委員会、資源エネルギーに関する調査会に所属。19年4月、自由党と国民民主党の合流には加わらず「れいわ新選組」を旗あげ。19年7月、参議院議員選挙に比例区より出馬、99万2,267票を得るも落選。れいわ新選組の得票率が2%を超えたことから政党要件を満たした党代表となる。20年6月、都知事選挙にれいわ新選組公認で出馬、65万7,277票を得るも落選。21年10月、衆院選東京ブロックにれいわ新選組公認で出馬して当選。趣味はサーフィン。

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