2024年07月18日( 木 )

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は原発の即時全廃を求めた2月12日付の記事を紹介する。

日本の元首相5名が欧州連合(EU)欧州委員会に対して送付した書簡による声明に対する批判を政府とメディアが流布しているが、批判は正当なものと言えない。

日本政府はSDGsの活動に巨額の公費を投入しているが、SDGsの活動そのものに黒い背景があることを国民は知っておかねばならない。

モンサントが開発し、販売を続けてきたグリホサート除草剤。

巨大資本の側はグリホサートの問題を認めてこなかった。

米国の裁判所がグリホサート散布とがん発症の因果関係を認めたことで、ようやくグリホサートの有害性に対する客観的評価が変化したという現実がある。

SDGsの活動が原発推進の大義名分に使われているという側面が厳然と存在する。

欧州連合(EU)欧州委員会は本年1月、発電時に二酸化炭素を出さない原発を地球温暖化対策に資する“グリーン”な投資先として認定する方針を示した。

これがSDGsの闇の部分だ。

原発を推進するためにCO2が強調されている。

電力、電機、その他産業の「原子力ムラ」はSDGsを原発推進の最大の支援要因として活用している。

原発推進の政府もその目的のためにSDGsを全面利用している。

亡国の政策だ。

細川護熙、村山富市、小泉純一郎、鳩山由紀夫、菅直人の日本の5名の元首相は、原発推進が未来を脅かす「亡国の政策」だと批判した。

正しい主張である。

日本は活断層の上に立地する世界最悪の地震大国である。

日本における原発推進は「亡国の政策」そのもの。

フクシマの事故を経験して、この事実は明白になった。

それにもかかわらず原発を推進するのは正気の沙汰でない。

5名の元首相の声明は、東京電力福島第1原発事故により、多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ、この過ちを欧州の皆さんに繰り返してほしくないことを指摘した。

この指摘に誤りはない。

5名の元首相が書簡を送付した1月29日、事故発生当時6~16歳で福島県内に在住していた6人が、原発事故で放出された放射性物質により甲状腺がんを発症したとして、東電を相手取り、計6億1,600万円の損害賠償を求めて提訴した。

6人のうち4人は手術で甲状腺を全摘している。

転移や再発が確認され、手術を複数回受けた人もいる。

元首相5人が声明を書簡として送付したことについて、岸田内閣の山口壮環境相が2月1日に、福島県内の子どもへの放射線の健康影響について誤った情報を広めているとして、抗議する書簡を送った。

また、自民党に転籍した細野豪志衆院議員は、書簡の「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」の記述について、「科学的事実に反する」とツイートしたが、細野氏のツイートが「事実に反して」いる。

東京電力福島原発事故により、福島で放射性ブルームを浴び、その後甲状腺がんと診断された若者が266名確認されている。

福島原発事故以前に、年間100万人に1人か2人の発症しかなかった小児甲状腺がんが、福島で事故当時18歳以下だった38万人のなかで、すでに266名の発症がある。

このことを「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」と表現したことについて、「科学的事実に反する」と評価することが間違っている。

もっとも、細野議員は「事実に反する」とは述べていない。

ここが巧妙なポイントだ

細野氏も「事実に反する」とは表現できないのだ。

なぜなら、「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」ことは「事実」そのものだからだ。

細野氏が述べる「科学的事実」というものを疑うことが重要だ。

誰が「科学的事実」を決定するのか。

細野氏が述べる「科学的事実」を決定しているのは国や県、あるいは国際機関だ。

しかし、国や県、あるいは国際機関が事実をねじ曲げることは日常茶飯事。

何らかの思惑があれば、国や県、国際機関は事実をねじ曲げることを厭わない。

身近なところではワクチン副反応。

多数の人がワクチン接種後に急死している。

しかし、日本政府は1例も因果関係を認めていない。

日本政府はがん発症多発の原因を「過剰検査」としているが、「過剰検査」が原因であることを客観的に証明していない。

客観的に証明せずに「総合的に判断して、放射線の影響とは考えにくい」としているだけ。

5名の元首相の問題提起は適切であり、極めて意義が大きいことを明確にしておく必要がある。

日本で原発を推進することは「亡国の政策」。

5名の元首相は、欧州委員会の決定に対して異を唱えた。

いずれの元首相も自然エネルギーの活用には賛同している。

しかし、CO2発生抑制を大義名分にする原発推進に反対しているのだ。

私が「地球温暖化仮説」に対して強い疑念を抱いている主因がこれだ。

※続きは2月12日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「2021年超過死亡激増主因は何か」で。


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