2024年07月16日( 火 )

バーチャルヒューマン 若い消費者の新たな選択肢に(後)

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バーチャル イメージ    コンテンツ制作について見ると、バーチャルヒューマンのコンテンツ制作プラットフォームは今や多くのメーカーが共同で力を入れるポイントになっている。中国のメーカーには科大訊飛(iFlytek)、相芯科技などあり、いずれもニュース・情報提供に関わるプラットフォームを打ち出している。

 バーチャルパーソナリティーは現在、中国国内で最も激しい競争が展開されている分野だ。ライブ配信シーンの運営を細部にわたりバーチャルヒューマン製品の設計に組み込むメーカーも出てくるだろう。

 その他の分野としては、多くのメーカーが展開を計画しているバーチャルティーチャー、バーチャルナビゲーター・ガイド、展覧会や展示会などのバーチャル説明員などがあり、バーチャルヒューマンはユーザーからの基本的な要求を行為や音声によって識別し、固定のパターンにより対応することが可能だ。

 このほかに注目されるのは、AIバーチャルアシスタント・アプリがすでに誕生していることで、中国のスマートスピーカーが打ち出している有名AIバーチャルアシスタントも、カスタマイズ可能なオリジナルのバーチャルヒューマン・イメージを対外的に発表している。今後想像できる展開としては、エクステンデッド・リアリティ(XR)やホログラムなどの方法により、具体的なキャラクターイメージをともなったAIバーチャルアシスタントが私たちの日常生活のなかにも登場するようになるかもしれない。

キャラクター型バーチャルヒューマンがライブ配信分野に参入

 人格的特徴をもたないサービス型バーチャルヒューマンに比べ、キャラクター型バーチャルヒューマンはそのアイデンティティーがより強調される。現実の世界では、こうした独自のキャラ設定があるバーチャルヒューマンは、静的な画像、動的な動画、リアルタイムのライブ配信などさまざまな方法で人々の注目を集める。

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 バーチャルヒューマンが「ネット有名人」の領域を「侵す」現象も起こっている。米国発のリル・ミケーラは世界的にも非常に人気があり、2016年にはインスタグラムに進出し、2020年の収入は1,000万ドルを越えた。中国初の超リアルなバーチャルヒューマンである翎Lingは中国風のイメージが特徴で、ファッション誌「ヴォーグ」に登場しただけでなく、米電気自動車(EV)大手テスラのイメージキャラクターも務めた。今年10月に中国で誕生した柳夜熙は、現実世界とバーチャル世界が入り交じった鮮烈なビジュアルの動画が発表されると、ショート動画プラットフォームのアカウントに24時間で130万人以上のフォロワーがつき、「いいね!」は200万を超えた。

 また、ライブ配信とネット有名人はバーチャルヒューマンにとっても重点発展市場になっている。代表的なキャラには、米国のバーチャル動画配信者のCodeMiko、中国発では抖音の阿喜(Angie)と動画サイト「bilibili」(ビリビリ)up主の鹿鳴、日本のImmaなどがある。

 全体的に、バーチャルヒューマンのキャラクターは安定しており、さまざまなイベントに高頻度で参加することが可能だ。リアルな人間キャラクターと違い、マルチチャンネルネットワーク機関が特定のキャラクターを長期利用するという問題を解決できるため、ライブ配信やイメージキャラクターなどの分野で発展を遂げた。

2030年に中国バーチャルヒューマン市場の規模は2,700億元に

 コンサルティング会社の量子位がこのほど発表した「バーチャルヒューマンディープ産業報告」によると、2030年には、中国のバーチャルヒューマン市場全体の規模は2,700億元に達することが見込まれる。このうちキャラクター型バーチャルヒューマンの市場規模は約1,750億元になり、サービス型バーチャルヒューマンは950億元を超える見込みで、現在の市場は初期の市場育成段階にある。人に代わってサービスを行うバーチャル配信パーソナリティーとバーチャルキャラクターのうち、バーチャルアイドルが目下の市場の注目点だという。

(了)


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