2024年12月22日( 日 )

ゼレンスキーは正義のヒーローか

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回はミンスク合意が履行されていれば今回の紛争は発生していないと指摘した3月11日付の記事を紹介する。

ウクライナ問題を理解するための基礎情報を提供してくれるのがオリバー・ストーン監督のドキュメンタリー映画『ウクライナ・オン・ファイヤー』

「ウクライナ・オン・ファイヤー」でウェブ検索していただければ、日本語字幕付き動画を視聴できる。

検索エンジンは「ウクライナ・オン・ファイヤー」を上位に表示しない特別のアルゴリズムを用いている。

「ウクライナ・オン・ファイヤー」の代わりに「ウインター・オン・ファイヤー」が表示されるので注意いただきたい。

「ウクライナ・オン・ファイヤー」は支配勢力が見せたくない映画。

だからこそ見る必要がある。

謀略工作のために必要な3つの要素がある。

カネとメディアとテクニック。

この3つを活用して人々を洗脳する。

ネオコンの代表的論客であるロバート・ケーガンは

「最近のアメリカはハードパワー以外の方法で問題に対処することがたくさんあると思う」

と述べる。

これが「カネとメディアとテクニック」。

ロバート・パリー氏は、ワシントンDCを拠点とする調査報道記者で
Consortiumnewsの創設。

1980年のイラン・コントラ事件を暴露した気骨ある記者として知られている。

パリー氏は次のように述べる。

「ネオコンが、一国の指導者を悪者にできるようになりました。

それがアメリカ人の心をつかむのです。

だから政策を競うのではなく、リーダーを攻撃するのです。」

「J・マケイン「あなたは、プーチンがロシア帝国を復活させたいと思っている古いタイプのKGB大佐であることを知っていますか?」と語る。

彼らを悪魔に仕立て上げ、アメリカ国民にそう思い込ませる。

そうなると、ジャーナリストやほかの人たちが「一体どうなってるんだ?」と疑問の声をあげても、難しくなる。

たとえば彼は黒の帽子でも白の帽子でもなくグレーの帽子をもっていると、少しでも疑問の声をあげると、途端にヤヌコービッチの擁護者、プーチンの擁護者だと思われる。

疑問をもって発言したジャーナリストや学者やその他の誰かに対して攻撃してきます。」

今回のウクライナ紛争後の発言ではない。

2014年のウクライナ暴力革命後の発言だ。

ウクライナ西部のガルシア地方はナチスドイツの占領下に置かれた。

このとき、ウクライナ民族主義者の同盟であるOUN(ウクライナ民族主義者組織)出身者がナチスドイツに加担してユダヤ人大虐殺を行っている。

1929年に創設されたOUNの旗は「黒と赤」。

大地と血である。

アメリカの諜報機関はソ連に対する防諜活動としてウクライナの民族主義組織を注意深く見守り、保護した。

CIAはOUN治安部隊の犯罪行為を免責し、欧州に逃げた彼らを保護した。

このウクライナ民族主義者はCIAの庇護によって生き延び、現在につながっている。

GHQは日本で実験データの提供と引き換えに731部隊の戦争犯罪を免責している。

OUNを淵源とする極右国粋主義勢力が現在のウクライナ軍のなかに正規軍として取り込まれている。

ウクライナでの暴力革命が遂行された2014年、ウクライナ南部マリウポリで「アゾフ」大隊が創設された。

現在のアゾフはウクライナ内務省管轄の準軍事組織である国家親衛隊に所属する部隊になっている。

日本の公安調査庁は、アゾフについて、2014年の親ロシア勢力によるドンバス占領を受けて「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が結成した部隊であるとしている。

アゾフは白人至上主義、ネオナチを起源の1つにしていると考えられている。

英メディアBBCはアゾフ創設者が人種差別・反ユダヤ主義とつながりがあると紹介している。

アゾフはナチスドイツの象徴であるハーケンクロイツの旗を掲げ、シュバルツェ・ゾンネ(黒い太陽)を公式ロゴとしている。

3月8日の国際女性デーにNATOが公式ツイッターにアップした画像のウクライナ女性民兵の胸にこのシュバルツェ・ゾンネの紀章が写り込んでいた。

アゾフ大隊は米国カリフォルニア州の白人至上主義の右翼団体などとの交流もある。

「カネ・メディア・テクニック」による「ソフト・パワー」によって多くの市民が洗脳されているが、ウクライナ=正義、ロシア=悪魔という単純図式で理解することは危険である。

「ウクライナ・オン・ファイヤー」は、ウクライナで発生した2つの政権転覆の深層を抉り出す。

2004年の「オレンジ革命」と2014年の政権転覆。

2004年の大統領選ではヤヌコヴィッチが当選した。

これが不正選挙であるとされた。

不正選挙が認められるなら2020年の米国大統領選挙が不正選挙であると認定されても不思議でない。

そこは典型的なアメリカン・ダブル・スタンダードだ。

※続きは3月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「ゼレンスキーは正義のヒーローか」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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