2024年07月18日( 木 )

Fuck the EU叫ぶヌーランドの罪状

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、ウクライナ情勢について米国主導のメディアによる情報統制に流されては真実を見誤ると指摘した4月6日付の記事を紹介する。

驚きあきれるというのはこのこと。情報空間がロシアの戦争犯罪をはやし立てる報道に占拠されている。

戦争犯罪を肯定する考えは毛頭ない。紛争の解決に武力を用いることは許されない。戦争犯罪ももちろん許されない。ロシアの行動は非難されるべきもの。

しかし、米国やウクライナが声高に戦争犯罪を訴えるのは奇異でしかない。イラク戦争で米国はどれほどの戦争犯罪を実行したのか。ウクライナ政府も極右勢力が深く関与する正規軍が東部地区でどれほどの戦争犯罪を実行したのか。これらの問題を相対化するなかで問題を論じる必要がある。

イラク戦争は米国による侵略戦争だった。イラクが大量破壊兵器を保持しているとして、米国は国連決議を経ずに軍事侵攻した。この侵略戦争で犠牲になったイラク市民は10万人から100万人と推定されている。ウクライナ市民の犠牲の比ではない。バイデン大統領がプーチン大統領を戦争犯罪人と呼ぶのであれば、同様にブッシュ父大統領を戦争犯罪人と呼ぶ必要がある。

また、アゾフ大隊に代表されるウクライナ極右勢力などによって編成されるウクライナ政府軍が東部ロシア系住民居住地区で残虐行為を繰り広げてきたことも確認されている。

最大の問題は今回の戦乱が回避可能であったこと。ウクライナ政府と東部地区との間で「ミンスク合意」が締結された。東部地区に対して高度の自治権付与が約束された。これが誠実に実行されていれば、自動的にウクライナのNATO加盟は消滅する。ロシアが軍事行動を起こす理由は消滅した。

しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領はミンスク合意を踏みにじり、ロシアと軍事的に対決する路線を鮮明に示した。実際に、ミンスク合意に違反してウクライナ東部地域に対して軍事行動を実行したのはウクライナ政府軍である。

ゼレンスキー大統領のミンスク合意違反行為を裏側で誘導したのは米国であるとみられる。ウクライナが国際法であるミンスク合意に違反してロシアに対して軍事的な挑発を繰り返した結果として、今回のウクライナ戦乱が生じている。この意味で多数のウクライナ市民の犠牲に責任を負うべき第一の存在がゼレンスキー大統領なのである。

米国はベトナム戦争でも北ベトナムの攻撃を偽装して本格的参戦を実行した。いわゆる「偽旗作戦」の本家本元が米国なのだ。自ら実行した戦闘行為を北ベトナムによるものであると虚偽発表して本格的参戦に踏み切った。

ウクライナ問題のそもそもの発端は2004年と14年の2つの政権転覆にある。この政権転覆の正統性が強く疑われている。04年に不正選挙が唱えられて大統領選再選挙が実施され、ユシチェンコ大統領が誕生した。この大統領選挙自体が極めて疑わしいもの。

ユシチェンコ氏が毒物中毒に遭遇し、同情票を集めたが、この毒物中毒も「偽旗作戦=自作自演」であった疑いが強い。

ユシチェンコ氏は米国ネオコン勢力と直結する人物。後に南部オデッサでウクライナ極右勢力によるロシア系住民大量虐殺事件が発生するが、この事件直後にオデッサ市長に任命されたサハシビリ氏と盟友関係にあるのがユシチェンコ氏。サハシビリ氏は米国政府から高額報酬を受け取っていた人物。ネオコン直結の人物である。しかし、ユシチェンコ政権は内部崩壊した。

10年の選挙でヤヌコヴィッチ氏が正式に大統領に選出された。このヤヌコヴィッチ政権を謀略によって破壊したのが14年政変である。

14年政変は正統性のない新政権樹立だったといえるが、これを正当な政権交代として瞬時に承認したのが米国政府である。この不当な政権転覆からウクライナとロシアの関係悪化が本格化した。

事実の経緯を正確に把握し、そのうえで問題解決を図る必要がある。米国が主導するメディアによる情報統制に流されては真実を見誤る。

※続きは4月6日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「Fuck the EU叫ぶヌーランドの罪状」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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