尹錫悦氏、韓国の第20代大統領に就任(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏尹錫悦氏が大統領就任
3月の韓国大統領選挙において僅差で与党候補に勝利した尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が5月10日、第20代韓国大統領に正式に就任した。就任式は同日午前11時にソウルの国会議事堂前で行われ、文在寅前大統領夫妻をはじめ、国内外の外賓が招かれた。
韓国大統領の任期は5年で、再選はない。韓国では5年ぶりに保守政権が誕生したことになり、韓国の国民や財閥・大企業は新大統領に大きな期待を寄せている。しかし、世界経済には暗雲が立ち込めており、国内的にも課題が山積しているので、就任式は喜びに沸くような雰囲気ではなかった。
尹大統領は政治経験がまったくなく、検事一筋という経歴の持ち主。文在寅政権と対立して昨年3月に検事総長を辞職し、政治家に転身。今年3月の大統領選で革新系の与党候補を僅差で破り大統領に当選した。
韓国で政治経験のない大統領が誕生したのは、今回が初めて。世界が直面している厳しい状況などを考えると、現在は最もリーダーの手腕が求められる時期ではあるが、はたして尹大統領は国民の期待に応えられるのか、関心が高まっている。しかし、解決しなければならない課題が多すぎるため、新大統領の前途が「いばらの道」になることは容易に想像できる。
大統領就任式の様子
一般市民ら約4万1,000人が見守るなか、就任式は国会議事堂前で行われた。第13代大統領である盧泰愚(ノ・テウ)大統領以降の大統領就任式は、すべて国会議事堂で行われた。式典で、尹大統領は国会議事堂の入り口から壇上まで約180m歩き、観衆とグータッチを交わした。
就任演説の直後には、今回の選挙公約に掲げられていた、「権力の象徴」となっていた「青瓦台」を一般市民に開放。市民が大統領府の敷地内に入っていく様子などが大型スクリーンに映し出される演出も行い、国民にアピールした。
大統領の就任演説は比較的短く、16分間だった。尹大統領は演説で、自由民主主義や国際協調に重点を置き、国際社会で韓国が責任と役割を果たさなければならないと強調。また、史上最悪と言われている日韓関係にもふれて、歴史問題などで悪化した日韓関係の改善に強い意欲を示した。さらに、北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化に転じれば、北朝鮮の経済を改善させる大胆な計画を準備すると表明した。ところが、北朝鮮は大統領就任の2日後に弾道ミサイルを発射するなど、相変わらず挑発を続けている。
尹大統領は文在寅前大統領とは違って、北朝鮮や中国寄りの政策を中止し、米国と日本との関係改善を図ろうとしているが、それが今後どのような状況をもたらすのかは、もう少し様子を見る必要があるだろう。
(つづく)
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