ウクライナ戦争の隠された舞台裏:中ロの連携プレーの行方
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、6月10日付の記事を紹介する。欧米諸国や日本からも経済制裁を受けているのがロシアのプーチン大統領です。
本人はもちろん、親族や政府の幹部らも経済制裁の対象になりました。
さぞかし、苦しい状況に追い込まれているに違いありません。
アメリカのメディアでは「プーチン大統領はガンを患い、手術を受けたようだ」といった観測すら流されています。
「顔つきや言動が依然と違っている」といった指摘も相次いでいるようです。
当初の目論見ではウクライナを短期間に制圧し、西側寄りになろうとする弟分をロシアに引き戻すことで、自身が偉大な兄貴分として両国民から拍手喝采を受けることを目論んでいたとされるのがプーチン大統領です。
しかし、その目論見は見事に外れてしまったように見えます。
首都キーウの攻撃は思うに任せず、東部地域に戦力を集中し、何とかロシア系住民の多い地域をウクライナから引き離す戦闘を繰り返しているとの報道がされているからです。
しかも、そうした地域でも欧米から最新の兵器の提供を受けているウクライナ軍が踏ん張りを見せているため、ロシア軍も一進一退を続けているとのこと。
さらには、前線での指揮を執るために現地入りしていたロシア人将校の多くがウクライナ兵から狙撃され死亡したとも言われています。
とはいえ、こうしたウクライナ寄りの報道や分析に関しては、どこまでが本当か、具体的な検証はなされていません。
というのも、情報戦に関してはアメリカをはじめとするNATO諸国が長けており、ウクライナに有利な報道が主流になっているからです。
ウクライナ戦争の全体像は明らかになっていません。
実は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に関しては、ヨーロッパ方面に関心が集中していますが、ロシアはその裏で中国と連携し、アジアや北米に向けての作戦を密かに展開している模様です。
この点が欧米や日本のメディアではまったく触れられていません。
中国からの情報によれば、ロシアの精鋭部隊はウクライナには投入されておらず、極東方面に結集していると言います。
その狙いは「北極海経由でアメリカへの攻撃を仕掛ける準備にあるから」とのこと。
と同時に、中国は太平洋をまたぎ、アメリカ西海岸への攻撃を目論んでいるというのです。
このところ中ロはアジア方面での共同軍事演習を重ねていますが、そうした深慮遠謀に基づくものと思われます。
表には出ていませんが、ウクライナ戦争に関しても、中国はロシアに経済的な支援体制を提供しているようです。
日本では「今日のウクライナは明日のアジア」との見方が台頭しており、中国が台湾を武力で統一する動きが加速するのでは、といった危機感が生じています。
しかし、中国の発想は孫子の時代から「戦わずして勝つ」のが最善策です。
それゆえ、中国は台湾に関しては海上封鎖を最優先することは間違いないでしょう。
陸続きでヨーロッパと結ばれているウクライナと違い、台湾は周囲を海に囲まれています。
食糧やエネルギー、はたまた医薬品や武器弾薬に至っても、海上輸送が欠かせません。
中国は今や世界最大級の海軍力をもつようになりました。
台湾を海上封鎖することは簡単です。
台湾の生命線である海上航路を遮断するのが中国、ロシアの合同作戦になると思われます。
と同時に、中国とロシアは協力して、アメリカや日本、韓国の動きを封じ込めるための準備にも余念がありません。
核戦略をちらつかせれば、アメリカや日本の動きを封じることは「赤子の手をひねる」ようなものと、中国もロシアも今回のウクライナ戦争から学んだはずです。
ウクライナを支援するため、アメリカは大量の兵器や経済支援を続けています。
これでロシアを弱体化させると目論んでいるようですが、プーチン大統領はそんなアメリカの思惑のはるか上を行く作戦を進めているわけです。
残念ながら、日本政府は中国とのパイプを細めてしまい、そうした中ロの裏取引に関する情報を把握できていません。
ウクライナ戦争が始まった直後に中国からは習近平国家主席の側近が極秘に来日し、ロシアの動向に関する情報をもたらしました。
しかし、そうした情報は日本では真剣に受け止められなかったようです。
結果的に、中国はロシアとの連携を深め、台湾併合のために、アメリカと日本の動きを封じ込める作戦に着手しました。
要は、ウクライナに世界の目をくぎ付けにすることで、ロシアと中国はアメリカの弱体化を目指しているのです。
膨大な軍事予算を計上しているため、アメリカは財政破綻が避けられないでしょう。
ドルの信頼も揺らぐ一方です。
日本はアメリカの言いなりになるのではなく、中ロの隠された動きにも注目し、両陣営とも巧みに等距離外交を展開するインドを味方につけ、独自の経済外交路線を追求する必要があるでしょう。
「拡大NATO」入りを目指すのは危険な道筋としか言いようがありません。
次号「第299回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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