経済政策についての考え方
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「日本の主権者を幸福にする政治哲学はリベラリズムである」と訴えた6月14日付の記事を紹介する。
6月15日に通常国会が閉幕すると参院選になだれ込む。
参院選は6月22日に公示され、7月10日が投開票日になる見込み。
参院選投票日まで1カ月を切っている。
しかし、選挙への関心が一向に高まらない。
理由は政権を追い込むべき中核野党の気迫が欠けているからだ。
大きな争点が3つある。
第一は安全保障と憲法。
第二は原発。
第三は経済政策。
いずれも極めて重要な問題だ。
参院選が終わると次の国政選挙まで長い空白期間が生まれる。
衆院の任期満了は2025年10月。
次の参院選は2025年7月。
衆院解散がなければ3年の空白が生まれる。
改憲勢力が衆参両院の3分の2を占めれば憲法改定が現実に動く可能性が生じる。
ウクライナで戦乱があり、これを口実に憲法を変える、あるいは防衛費を増額する提案が示されているが、極めて危険な考え方だ。
ウクライナ問題の最大の教訓は政府が対応を誤ると戦乱に巻き込まれるということ。
戦乱が発生することを前提に置いて戦乱への対応策を講じるのは優先順位を間違えた考え方だ。
ウクライナで戦乱が発生した最大の原因はウクライナ政府が国際法であるミンスク合意を踏みにじったことにある。
関係する近隣諸国と相互尊重、相互理解、相互信頼に基づいて対話を継続し、問題を平和裏に解決することが何よりも優先されねばならない。
ウクライナがこの姿勢を示していれば戦乱は発生していない。
もちろん、紛争の解決に武力を用いることは避けなければならないからロシアの行動は非難されるべきであるが、ウクライナが正義でロシアが悪の図式だけで説明することは妥当でない。
何の前触れもなく、何の正当な根拠なくロシアが軍事行動を起こしたのではない。
ウクライナ政府の対応に重大な誤りがあって戦乱が生じた事実を見落とすことはできない。
ウクライナの戦乱を強く求めたのは米国である。
米国はウクライナを戦場として戦乱を発生させ、巨大な経済的利得を獲得している。
東アジアの緊張が高められ、東アジアで戦乱が生じるとき、おそらく米国は戦乱に直接関与しないだろう。
日本が戦場とされ、米国はここでも巨大な経済的利得獲得を目指すだろう。
日本が取り組むべき課題は東アジアでの戦乱発生を絶対に阻止すること。
軍備増強ではなく近隣諸国との関係改善、友好関係の構築こそ、最需要の課題になる。
日本における原発稼働はリスクが大きすぎる。
日本が世界最大の地震大国であることを忘れるべきでない。
日本の原発は巨大地震に耐える設計構造になっていない。
巨大過ぎるリスクを踏まえて原発廃止の決断を下す必要がある。
経済政策のテーマは弱肉強食奨励か共生重視かの選択。
現在の政策は弱肉強食奨励になっている。
過去30年間、日本経済は成長しなかった。
成長しない経済の下で所得分配の急激な変化が生じた。
労働者への分配が減少し、圧倒的多数の国民が下流へと押し流された。
共生重視の経済政策とは、下流に押し流された人々の所得環境を改善すること。
すべての国民に保証する最低水準を大幅に引き上げることが求められている。
具体的には、1.最低賃金を大幅に引き上げること、2.生活保障制度を確立すること、3.消費税を減税ないし廃止すること。
他方、この施策に反対する政治勢力が存在する。
市場原理に委ねることを主張する勢力が存在する。
その意味は弱肉強食の原理を放置すること。
参院選では、1.平和主義を追求し、2.原発全廃を明確に掲げ、3.共生の経済政策を明示する政治勢力に投票すべきだ。
この政策を基本に置く政治勢力は、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党である。
2001年の小泉内閣発足後、日本において新自由主義経済政策が中核に据えられてきた。
「構造改革」や「成長戦略」「新自由主義」などの言葉が用いられてきたがすべて同じもの。
「成長戦略」や「構造改革」は言葉そのものにプラスの意味が含まれているから耳に聞こえが良いものだが、「誰の何の成長」なのか「何のどのような構造」を変えるのかが明らかでなければ、良いものか悪いものかの判定はできない。
「成長戦略」とは「大資本の利益の成長」のことであり、裏を返せば「労働者の不利益の成長」ということになる。
※続きは6月15日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「経済政策についての考え方」で。
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