2024年09月06日( 金 )

字図なき不動産が境界線をめぐるトラブルを生む

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境界線 イメージ    福岡市の不動産を取得することになったA氏。手続きを進めるなかで隣人と境界線をめぐりトラブルが発生している。隣人は自分で作成した地籍図を基に境界を主張するが、A氏は土地家屋調査士が作成した測量図を基に交渉。念のため法務局・筆界特定担当官や福岡市の林政課に確認を取り、自身の主張が正しいことを確信している。

 それでも隣人との話し合いは困難を極めている。事が簡単に進まない要因の1つは当該地に字図(あざす、公図)がないことだ。字図は明治政府が作成した地図の一種で、土地の位置と形状を確定するために参考にするもの。地租改正時に作成され、徴税のためにも本来すべての土地に記されていなければならないものだが、当該地には記されていない。ただ、法務局が定めた土地の番号・地番は付されており、納税されていた経緯がある。

 A氏は法廷闘争まで視野に入れているが、そもそも字図が付されてさえすれば、無駄な時間やコストを投ずる必要がなく、トラブルも発生することはなかった。

 A氏は「遊休地ならまだしも、人が生活している土地で同じようなトラブルで困る人をこれ以上増やさないで欲しい」と行政に早急な対応を求めている。

【鹿島 譲二】

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