【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(8)】恐怖政治篇2:腹心OBを手駒に使ったパワハラで、教授たちを意のままに
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関係者が口をそろえて告発する、朔啓二郎・現福岡大学学長が行ってきた同大医学部人事への「不当介入」問題。これは、2013年の医学部長就任以降にとくにエスカレートしていったという。教授選考や昇格等の人事に、他のどんな教授にもまして医学部長が大きな影響力をおよぼすのは当然だが、にもかかわらず関係者たちがこぞって「不当」と断じるその理由(わけ)は。本稿ではその一端、腹心OBを手駒に使ったパワハラによる、教授選コントロールの模様を伝えする。
福大医学部には一人の有名教授がいる。「有名」といっても、卓越した業績で知られるとか世間で人気があるといった話ではない。福大医学部関係者の間で“名物“となっているという意味である。
朔教授と同じ福大医学部1期生にあたるこのX教授、「病院では患者を、教場では学生をと、とにかく人を怒鳴り上げ罵倒する医者で、ある時期から病院にも教室にも“出禁“となった」(C氏ほか多数)。「白衣を着て病院前の舗道で長いこと一人座っていた」「朝、出勤したのに姿が見えないと思ったら、キャンパスからほど近い干隈三叉路手前の喫茶店にいるのを見かけた」「用を済ませて大学に戻る途中、医学部に隣接する池の横にあるコンビニの敷地内で、ベンチに座っているのがバスの窓から見えた」などなど、職場にあって所在なげな様子がしばしば目撃されてきたようだ。だが、そんなX教授も「学部内で選挙があるときだけは生き生きしている」(C氏)のだという。
多くの関係者の話を総合するに、たとえば教授選考のための選挙などが行われる運びになると、X教授は同窓の教職員のもとを訪れては、〇〇候補に入れろ、他の教授にもよく頼んでおけといった趣旨の「命令」を下して回る。かれの訪問を受けたことのある一教授は、「学生時代に先輩後輩の関係であったとはいえ、いまはそれぞれの講座のトップとして福大医学部という一つの組織で働く同僚同士。なぜ兵隊のように扱われねばならないか」と憤る。
少しでも渋る素振りを見せると「あの大きなからだ、大きな声で凄まれ、黙っていうことを聞いておけ!と言わんばかりに怒鳴り上げる。若い後輩教員などは震え上がる」(A氏ほか)。「『いうことを聞かなければどうなるか、わかってるだろうな?!』というような、脅しめいたこともいわれると聞いています」(F氏ほか多数)。「先輩」を振りかざしていうことを聞かせようとは、一体どこのブラック企業の話かと思わせるような光景ではないか。
この手の“困った人“は軽くいなしておき、自分が正しいと考える行動を取ればよいではないかと思う読者もおられよう。筆者もそうだった。だが、さほど大所帯でもない福大医学部にあって、事はそう単純ではないらしい。X教授自身も「命令」回りのさいに口走ることがあるそうだが、「指示通りにしたかどうか、おおよそ見当がつくようになっている」(F氏ほか)のだという。
選挙の日、投票が行われるその部屋に、正教授ではない=投票権もないのに姿を現し、入口付近に門番のように鎮座するX教授の姿は医学部内の風物詩となっている。「お前ら、例の件、わかってるだろうな?!という感じで、睨みを効かせてます(笑)」(C氏)。そもそも「投票が行われる場では、セクションごとに投票人の席があらかじめ指定されていて、誰が誰に入れたか、わかってしまう」(B氏)。
そして、X教授と朔医学部長とが昵懇の仲であるとは、医学部内の誰もが知っていることである。患者や学生を罵倒するために職場への出入りを禁じられたかれが、クビにもならず大学に、しかも教授のままで残っていられるのも、“同期思い“の「朔医学部長の強力な後押しがあった」(A氏ほか)からである。
かれもこの“偉大な仲間“に深い恩義を感じているのだろう、筆者が目にした某会議の議事録には、矢面に立たされた朔教授を、トンチンカンな理屈を振り回して必死に庇おうとするX教授の姿があった。要するに、X教授の要求はそのまま朔教授の“ご意向“であるとは医学科内では暗黙の了解事項なのであり、それを半ば恫喝によって強要されてきたというのが、これまでの福大医学部の実情なのである。
ことによれば、X教授の指示=朔医学部長の意向に従えばいずれ学内のいいポストに就かせてもらえるかもしれないと、下心がはたらくこともあるかもしれない。日頃朔教授のやり方に批判的な者も、その時何らかの利害や思惑が一致して従う場合もあるだろう。
だが、従わなかったことがバレたら「何をされるかわからないという、得体の知れない恐怖感」(G氏ほか多数)のほうが大きいと、皆が口をそろえていう。実際に「何かされた」人々を目の当たりにしてきたからこそなのだが(これについては稿を改めて報告する)、ともかくこうして多くの教員が結果的に朔学部長の意向に従ってきたのであり、それが朔教授をますます増長させることになったと思われる。
先輩だの上司だのの上下関係を笠に着て何かを強要することを「パワーハラスメント」という。まさにその「パワハラ」で以て配下の投票行動をコントロールし、あたかも各教授の判断と意志による公正な選挙が行われている風をまとわせてきたのが、朔学長という人物のようだ。それも、後輩が勝手にやったことで自分の関知するところのものではないと、いくらでも言い逃れできるようなやり方で。
つまり、朔氏のもとにあって福大OBの医学部スタッフは、各々が積んできた研鑽も人格さえも無視されて、単なる手駒のように扱われてきたのだ。では、このような手を弄してまでかれは一体どんな人事を進めようとしてきたのか。
(つづく)
【特別取材班】
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