2024年11月24日( 日 )

安倍元首相銃撃事件と旧統一協会 “アベ友優遇政治”が生んだ悲劇か?

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 安倍元首相銃撃事件を機に、自民党と旧統一教会(世界平和統一家族連合)との関係が再注目されている。銃撃事件4日後の7月12日、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が記者会見を開いた。前日の旧統一教会の会見で田中富広会長が「2009年以降は献金をめぐる金銭トラブルはない」などと述べたことに対して、「嘘」と断言。1987年以降の被害総額は1,200億円以上で、2017年以降の5年間でも約54億円におよぶと反論していったのだ。

 そして、「コンプライアンス重視」を訴える旧統一教会の本音らしきものについても、弁護士連絡会は会見で次々と暴露した。霊感商法による高額献金(金銭的搾取)を是正するのではなく、政治家との関係強化で取り締まり回避を狙ったというのだ

・「政治家とのつながりが弱かったから09年に警察の摘発を受けた。今後は政治家と一生懸命つながっていかないといけない」というのが旧統一教会の反省だった。
・(2012年に誕生した第二次)安倍政権になってから若手の政治家たちが統一教会のさまざまなイベントに平気で出席するようになった。それまでは政治家が参加しても伏せていたが、最近は若手の政治家が大手を振って参加してコメントをするようになった。

 会見のハイライト場面は、同会代表世話人の山口広弁護士が写真集を広げて、安倍元首相の祖父の岸信介・元首相が教団創設者の文鮮明教祖とのツーショット写真を指し示したときのことだ。すぐに記者が駆け寄って撮影タイムとなった。

 衝立を隔てて顔を出さない状態で質疑応答をした元信者は、こう語っていた。「ゴルバチョフや金日成と会った教祖の写真とか見せられたことがあります。そして、やはり、『そういう大物政治家と通じているのだ イコール やっぱりこの人(教祖)はすごいのだ。この人はメシアなのだ』という1つの動機付けにはなると思います」「(岸元首相ら日本の政治家についても)そういうものを見せられると、『やはりすごいのだ。メシアなのだ』という気持ちにさせられてしまうのがあると思います」。

岸信介氏と文鮮明教祖とのツーショット写真を指し示す山口広弁護士
岸信介氏と文鮮明教祖とのツーショット写真を指し示す山口広弁護士

 7月11日の本サイト記事「安倍元首相銃撃 旧統一教会の”広告塔“を狙った計画的犯行?」で、この弁護士連絡会が安倍元首相宛てに公開抗議文を出したことを次のように紹介した。

「旧統一教会の主な資金源である霊感商法については、金銭的搾取や家庭破壊などの被害をもたらすことが社会問題化。『全国霊感商法対策弁護士連絡会』が2021年9月、国会議員らが集会参加や祝辞などでお墨付きを与えているとして安倍氏宛に公開抗議文を送付していた(9日の郷原信郎弁護士のブログ「安倍元首相殺害事件は『1つの刑事事件』として真相を見極めるべき」より)」

 12日の記者会見では、公開抗議文を含む関連文書(資料)が配布され、受け取りを拒まれたという説明も冒頭でなされた。ただし質疑応答で私は「公開抗議文に対して安倍元総理から回答はあったのか」と念のため確認すると、「議員会館に出したものは受け取り拒否で、山口の安倍さんの事務所に行ったものは回答はなし」との答えが返ってきた。

 なお、この公開抗議文は、安倍元首相が旧統一教会関連団体のイベントで挨拶(ネット上で視聴可能)をした直後に送付されたもので、お墨付きを与えたことへの抗議と霊感商法の説明もなされていたのだ。

 「自業自得」「因果応報」「身から出た錆」という言葉が浮かんでくる。もし安倍元首相が公開抗議文を重く受け止め、霊感商法の実態把握や規制強化に動いていれば、銃撃事件は避けられたに違いないからだ。

 先の本サイト記事では、安倍元首相の秘書官だった井上義行候補(自民党全国比例で当選)支援集会の様子を紹介したが、選挙で支援してくれる“アベ友教団”なので先の公開抗議文の受け取り拒否(霊感商法の野放し)となったようにもみえる。森友・加計・桜を見る会とも共通する「アベ友優遇政治」が生んだ悲劇なのではないか。

 7月16日に銃撃事件の現場で黙とうをした立憲民主党の泉健太代表は、その前の囲み取材でこう答えた。

 「(今後の規制強化への取り組みについて)霊感商法で被害を受けられた方が大勢いることは問題だと思うし、その被害を防止していくことは大事なことだと思う」。

 そこで私は「自民党を選挙で応援する団体は野放しにする“アベ友政治”のような気もするが、追及する考えはないのか」と聞くと、泉代表は「それはぜひ資料ですとかを見せていただいて検討していきたいと思う」と意気込んだ。今後、旧統一教会への規制強化がどこまで進むのかが注目される。

【ジャーナリスト/横田 一】

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