九州ラグビー復権への道 サニックスの撤退と今後(3)
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試合のレベル向上も観客動員で苦戦
今年1月に開幕したJAPAN RUGBY LEAGUE ONE(以下リーグワン)。
D1〜3までの3カテゴリーで、24チームが参戦し、熱戦が繰り広げられた。試合そのもののレベルは年々高まっている。その要因の1つに、強豪国から現役代表クラス(ニュージランド、オーストラリア、南アフリカほか)の選手が続々と来日し、各チームで活躍していることが挙げられる(もちろん実力を発揮できず契約満了した選手もいるが…)。
世界レベルのパフォーマンスとラグビーに取り組む姿勢は、国内選手の良きお手本となる。来日した外国人選手たちが、自身が培ったスキルや志向を積極的に若手世代に伝えていることは、各チームの関係者から伝えられており、とくに20代前半の若手選手にとっては、最高の“師匠”となる。
「自分のノウハウが、次世代の選手に役立つことは大変嬉しい」と外国人選手たちは一様に口を揃えているという。同じく、指導者も強豪国から続々と各チームに加入し、最新の戦術およびトレーニング方法などをフル活用することにより、チーム力が向上。フィールドの現場レベルにおいては、競技レベルの向上がなされ、好循環を生み出している。
一方、リーグ戦の観客動員数については、まだまだ課題が残る。
初年度となった22年シーズンの総入場者数は484,047名(D1〜3の150試合)。1試合平均3,227名(新型コロナウイルス感染症の影響で、28試合中止)。
内訳は
D1総入場者数(12チーム、78試合開催、18試合中止):328,617名。平均4,213名
D2 総入場者数(6チーム、34試合開催、2試合中止):56,784名。平均1,670名
D3 総入場者数(6チーム、28試合解散、8試合中止):23,704名。平均847名
プレーオフトーナメント総入場者数(4試合):63,585名。平均15,896名
入替戦 総入場者数(6試合):11,357名。平均1,893名コロナ禍による試合中止の影響はあるものの、D1で平均4,213名の観客動員数は、良好とは言い難い。D1は1試合平均15,000名を目標に掲げていたが、結果3分の1を下回り、D3に至っては1,000名を下回っており、関係者の親戚と友人が集まった程度である。
プレーオフトーナメント開催でようやく15,000名の目標値に到達した格好となった。客単価の平均が2,500〜3,000円のゾーンで、15,000名平均の動員で2,500円の客単価として1試合売上高3,750万円。D1ホームゲームが8試合として3億円の興行収入となる。1チームの年間運営コストは、最低でも10億円を要する。D1になると20億円近い規模になっている。現状はオーナー企業から40%、スポンサー収入40%、興行収入20%が事業収益モデルである。そして、将来的にオーナー企業に依存しない独立採算制のチームマネジメントの実践を促すリーグ側。つまりオーナー企業からの支援比率を縮小し、スポンサーと興行収入を強化しなければならない。
宗像サニックスはD3で興行とは言い難いチケット販売数、そしてオーナー企業の苦しい財務状況により、リーグ参戦を断念しなければならなくなった。
(つづく)
【難波 二郎】
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