2024年12月23日( 月 )

東大発バイオベンチャー・テラが破産 不祥事相次ぐ

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治療薬 イメージ    テラ(株)(東証スタンダード、資本金33億1540万7989円、新宿区西新宿6-5-1)は8月5日、東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は2004年6月に設立、東大発バイオベンチャーとして知られ、近年では新型コロナウイルスの治療薬開発にも取り組んでいた。整理銘柄指定期間は22日までで、23日に上場廃止となる。上場企業の倒産は2020年9月の(株)Nuts(アミューズメント事業、医療関連事業)以来、1年11カ月ぶり。

 同社は東大医科学研究所の持つ技術・ノウハウの権利を独占し、がん免疫細胞療法のがんDC療法のノウハウを提供していた。がんDC療法はがん治療における外科療法、放射線療法、化学療法に次ぐ第4の療法として注目され、がんDC療法専門クリニックなど全国の医療機関に提供していた。09年3月にジャスダックNEO(当時)への上場をはたしたほか、12年12月期(連結)には売上高約15億4,400万円を計上するなど、事業を拡大していた。

 ただ、以降は契約医療機関からの収入減少に加え、研究開発費の負担が重く、14年12月期からは営業損益段階から赤字を計上するなど、業績が悪化。さらにその後不祥事が相次ぎ、18年6月には、資金調達に関する意思決定過程の適切性および元代表の株式売却手続きの法令違反および社内規定違反等の疑義が生じたことを公表、19年7月には証券取引等監視委員会から課徴金の納付勧告を受けるなどし、18年12月期から「継続企業の前提に関する注記」がなされるなど、信用が低下していた。

 20年4月にコロナ治療薬の開発に着手すると発表、当時100円台であった株価が2,000円台に高騰するなどしたが、株価をつり上げるため、業務提携先が投資家に虚偽の情報を発表させたほか、20年4月以降発表の適時開示情報に誤りが発覚、21年10月に東証から特設注意市場銘柄に指定されていた。

 21年12月期には債務超過に転落、同社は第三者割当増資や金融機関からの資金調達によりを目指したが、資金繰りが限界に達し、破産手続きの申し立てを決断した。

 申請代理人は鈴木郁子弁護士(本間合同法律事務所、中央区築地1-12-22、電話:03-5550-1820)、破産管財人は安達桂一弁護士(岩崎・安達・岡本法律事務所、千代田区九段北4-1-5、電話:03-3234-5221)。

 負債総額は1億8,765万円。

【茅野 雅弘】

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