2024年12月23日( 月 )

中国・不動産市場は行き詰まった

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 中国の不動産市場は完全に行き詰まり、完全崩壊する危険性もはらんでいる模様である。上場する不動産会社のうち、7月17日までに77社が2022年上半期の業績見込みを発表しており、このうち42社が赤字の見込み、さらこのうち23社が、当初の予想は黒字だったが業績が大幅に悪化したとのことである。21年上半期より利益を伸ばすのは12社にとどまりそうである。

住宅価格は2年前に逆戻り

鄭州市 イメージ    上半期の利益が10億元(約200億円)を超えると見ているのは、招商蛇口、金融街、雅戈爾、保利発展であり、なかでも保利発展は前年同期から4.1%伸びて107億元(約2,195億円)との予想である。

 その一方、陽光城、藍光発展、金科股份、栄盛発展、中南建設、首開股份、ST泰禾、中天金融が10億元を超える赤字を計上する見込みである。このうち藍光発展は、赤字額が46億元(約942億円)に達する見込みである。

 中国国家統計局が発表した、22年6月現在の中国70都市における住宅の販売価格を見ると、コロナの影響や経済の下押しによりおしなべて下落している。2年前の20年6月以下となったのは34カ所で、このうち青島、済南、ハルビン、武漢など27カ所は3年前の19年6月にもおよばない。さらに天津、鄭州、石家荘など6カ所は5年前のレベルに落ちている。

 鄭州市中原区に住む馬さんによると、現地の物件の売価は2016年末には100万元(約2,000万円)であったが、今は80万元(約1,600万円)でも買い手が出ず、賃貸にも出せず半年が過ぎているという。

資金繰り困難続く

 中国で不動産業界の上位100社に数えられる宝竜地産が7月26日、7月25日が期限である2129万4,000ドルの手形の元金と利息が未返還であると発表した。この1週間で100社のうち4社が同様の事態に陥っている。

 宝竜地産はまた、期限が22年11月8日である22年次期分の手形およそ3,725万ドルとその利息分についても、未返還であると発表した。さまざまな融資元をあたってはいるが期日までに返還できるかは未定という。

 今年4月29日に宝竜地産が発表した2021年度の業績を見ると、年間の契約金額は前年を24%も上回り、1,012億元に達している。また営業収入は前年比12%プラスの399億元であった。1,000億の大台にのってほどなく、今回の国外債務違反が告げられたわけである。

 今年前半は、2021年に全事業案件の約71.8%、保有地%の67.1を占めた長江デルタ地帯で、コロナの影響からか売上高が漸落しており、1~6月の契約金額は前年比で56.2%も低い232億元であった。

 中国の不動産業界では、7月19日~26日の1週間で、宝竜を筆頭に鑫苑置業、俊発地産、景瑞ホールディングスの4社が債券違約を言い渡されている。

緑地集団の上半期は利益半分減

 中国の不動産大手「緑地」は、上半期の営業収入が前年同期を27.64%下回り、主な決算項目を見ても好調だった昨年から軒並み数字を落としている。

 8月3日夜に発表された緑地の業績速報を見ると、上半期の営業収入は前年同期比28%減の2,047億元(約4兆870億円)で、利益は同じく49%減の42億元(約838億円)であった。1株あたりの利益は0.38元(約7.6円)であった。

 事業内容別に見ると、不動産業については販売の削減や、生産、引き渡しなどの主な業務で的確な取り組みを立て続けに講じた。販売や資金の回収を急いだことで、販売金額は681億元(約1兆3,597億円)で回収額777億元、引き渡し物件の合計面積は934万㎡で振込額755億元(約1兆5,074億円)であり、ほぼ目標を達成した。また大型の建設案件も予定通りに完成している。

 緑地は4月7日から株価が下がり始め、4カ月弱で48%値下がりしている。

各社は売上不振続く

 中国共産党政治局は7月28日、現在の経済情勢を分析し、今年後半の活動を検討する会議を行った。このなかで、不動産市場を安定させ、住宅は住むもので投機の対象ではないということが指摘された。地域別の取り組みで政治的ツールを十分に活用し、必然的および改善的な住宅ニーズに応え、地方政府の責任を定め、物件の引き渡しで暮らしの安定を確保するようにとのことである。

 不動産業界では昨年の後半から、巨額の債務を抱え資金難にあえぐ企業が出ており、債務不履行やマンションの建設中止などといった事態も起きている。中国政府は今年に入ってから、「地域別の取り組みで不動産市場を着実に成長させる」と強調しており、地方でも実情に合わせたかたちでの調整策が絶えず打ち出されている。ただ、住宅購入手当の支給、頭金割合や融資限度額、購入制限などの規制緩和といった刺激策が出ながらも、現在の売れ行きをみると効果のほどはいまひとつである。

 中国国家統計局が発表した今年1~6月の不動産の開発投資や販売データを見ると、分譲物件について、販売面積は前年同期比22%減の6万8923㎡で、このうち住宅については26.6%減、また金額ベースでは同28.9%の6億6072元(約132兆円)、うち住宅は31.8%減となっている。

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