2024年12月31日( 火 )

実績と信頼を継承し、新たな挑戦を 水処理のエキスパート

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ゼオライト(株)

 ゼオライト(株)はRO膜(逆浸透膜)の導入実績では全国No.1の実績を誇る、水処理事業のエキスパート。創業者の故・河村恭輔氏が1969年に創業して以来、妻で現・代表取締役会長・河村勝美氏、そして現・代表取締役社長・嶋村謙志氏と、ゼオライトは3代にわたって成長と飛躍を続けてきた。恭輔氏が掲げた経営理念『良い水創り・人財(ひと)創り』は、同社の経営方針として今日の躍進を支えるたしかなバックグラウンドになっている。

3代にわたり築いた基盤

創業者の故・河村恭輔氏を囲んで河村勝美会長(右)と嶋村謙志社長(左)
創業者の故・河村恭輔氏を囲んで
河村勝美会長(右)と嶋村謙志社長(左)

    近年のゼオライトは、同社本社のすぐ近くで今春開業した九州初進出の大型商業施設や天神ビッグバンの先陣を切ったオフィスビル(ともにRO膜を用いた井水浄水装置を納入)など、福岡の新たなランドマークとなった大型施設にとどまらず、北海道から沖縄まで全国津々浦々、同社が誇る水処理技術の活躍の場を広げ続けている。

 近年右肩上がりで業績を伸ばしてきた同社にとっても、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響は大きかったはずだ。問いに対し、嶋村代表は「名誉会長(恭輔氏)と会長がつくってくれた積み重ねが、この苦しい時期を支えてくれました」と述べる。

 たしかに同社の業績を見ると、51期(2021年7月決算)は売上高33億5,800万円に対して経常利益が約3億3,800万円の黒字を計上し、同社の過去最高益を更新した。そして52期(22年7月決算)は「売上高35億円を少し超えたところで着地しそうです(嶋村氏)」と、増収増益を見込んでいる。

 この好調を支える理由は、同社の売上構成にある。52期の売上高約35億円において、既存浄水施設のメンテナンス事業が約22憶5,000万円と6割以上を占める。大型商業施設やビルへの新規導入は、当然のことながら景気や施設運営企業の業況に大きく左右され、いわば水物の要素もある。一方、メンテナンス事業へのニーズは導入後一定期間ごとに確実に発生し積み上がっていくため、手堅いストック型のビジネスだ。

 「新型コロナの影響で景気の先行きが見通せないこの時代に、ゼオライトがこれまで積み重ねてきた実績とお客さまからの信頼が、確かな売上高と利益というかたちで返ってきています。現在、メンテナンスを手がけている施設は700件以上。これも名誉会長と会長のおかげだと思っています」(嶋村氏)。

RO膜洗浄で新たな挑戦を

 嶋村社長は実績という貯蓄のうえに安住することなく、引き継いだ実績をベースに、新たな挑戦を続けている。今取り組んでいるのは、同社の主力事業であるRO膜の自動洗浄・再生事業だ。これまでも浄水設備メンテナンス事業の一環として、RO膜洗浄を手がけていたが、基本は手作業であった。現在計画中の新工場では、RO膜の洗浄・再生を全自動で行う予定だ。従来の約10倍の効率で、加えてRO膜の浄水能力も一定の水準まで回復させることができる。この洗浄・再生事業も、これまでのRO膜の研究・開発、保守などで培ったノウハウあってのもの。

 さらに今後は、新事業分野として排水リサイクルにも取り組む。スーパー銭湯やクリーニング工場など、大量の温水を日常的に使用する業界では、使用後の水をどう処理するかは大きな課題。そのまま排出すれば下水道料金がかかり、コスト増の要因になる。この温排水をろ過し、ボイラーの蓄熱などの用途で活用することで、下水道料金に加えてボイラーの燃料費まで節約することができる。コスト面にとどまらず、近年持続可能な企業活動が求められるなかで重視されているマテリアルバランス(事業活動におけるエネルギーのインプット・アウトプットのバランス)のうえでも、大きく貢献することが可能だ。

商業施設に導入した浄水装置
商業施設に導入した浄水装置

健康経営を推進

 伝統と革新、継続と挑戦。躍進を続けるゼオライトが現在目指しているのが、「健康経営優良法人」の認定だ。健康宣言の発信、ストレスチェックの実施などの条件をクリアすることで、企業が従業員の健康管理を重要な経営課題ととらえ、積極的に取り組んでいることの証明となる。

 「水の仕事は、もともと社会貢献という側面があります。わたしたち自身も健康で働き、幸せになることが必要です」という嶋村社長の言葉通り、同社は働きやすく明るい企業への進歩を続けている。水に関する仕事は年中無休、というイメージは過去のもの。21年8月から完全週休二日制を導入している。新卒採用を毎年継続しているほか、福利厚生の充実や従業員同士のコミュニケーションにも力を注いでいる。

 なにより大きいのは、嶋村社長の存在そのものではないだろうか。嶋村社長は1996年に新卒で入社し、勤続22年目の2017年に社長に就任。いわば叩き上げでトップの座に就いた嶋村社長のキャリアパスは、同社で働こうという若者にとって最高のお手本だろう。「運がよかっただけです、名誉会長と会長に育てていただいたからです」と謙遜する嶋村社長の姿に将来の自分を重ねる若き社員たちが、またゼオライトの新たな未来をかたちづくっていく。

【深水 央】


ゼオライト(株)
代表取締役会長:河村 勝美
代表取締役社長:嶋村 謙志
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
TEL:092-441-0793
URL:https://www.zeolite.co.jp

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