2024年11月22日( 金 )

人財を大事にし、活躍の場を広げる 福岡のインフラを支える総合建設業者

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松山建設(株)

 松山建設(株)は九州北部で幅広い分野の建築物の施工に携わっており、九州地方整備局の工事成績優秀企業ランキングにおいて1位を獲得するなどその仕事ぶりは高く評価されている。地場の建築業者では少ない完全土日週休2日制を実現するなど、社員の働き方および待遇改善にも積極的だ。顧客第一主義などの同社の企業理念が同社のそうした実績および経営を支えている。

幅広く建築工事を手がける

 昨年、設立65周年を迎えた松山建設。現代表・松山孝義氏の父、松山譲氏によって1956年9月に「小松組」として設立され、62年11月に松山建設工業に商号変更、71年10月に株式会社化、96年11月に現商号に変更して今に至る。当初は京築・北九州エリアを中心に、主として一般土木工事や道路舗装工事などを行っていたが、76年5月に福岡支店を開設、創業30周年の87年11月に福岡市に本社を移転し、福岡都市圏にも確固とした足場を築くとともに業態を拡大した。現在、事業部を築上町(椎田)、支店を北九州市、豊前市、大分県中津市に構え、九州北部で広く事業を展開している。

 建築物の分野は幅広く、さまざまな建築物の施工に携わってきた。建築ではマンションや商業施設をはじめ、集合住宅、教育施設、医療・介護施設などを、土木事業では春吉橋建替えのため設置された迂回路橋などの橋梁、トンネル、海洋・河川、ダムなどを手がけてきた。

 なかでも公共工事は、九州新幹線開通にともなう筑紫トンネルの貫通工事など一連の工事、東九州道築城IC築造工事などの高速道路のほか、福岡空港の関連工事を担い、最近ではバイオマス事業や太陽光、地熱発電関連工事にも注力、土木工事分野の拡大を図っている。このように公共インフラ整備にも深く関わっており、地域の発展にはなくてはならない企業として、躍進を遂げてきた。

 同社の活躍の場は、地元・九州を中心とした日本国内にとどまっておらず、海外でも事業を展開している。2016年2月、カンボジアのシアヌークビル州においてODA事業として「シアヌーク病院」を竣工するなど、アジア諸国への技術提供にも取り組んでいる。

行政・社会からの高評価

 同社の施工は社会からも高い評価を得ている。九州地方整備局の工事成績優秀企業ランキングにおいて、20年、21年、22年と3年連続で1位を獲得した。福岡市からは、今年5月に第39回福岡市工事成績優良業者に選定され、5年連続の受賞となる。これには工事成績評定が80点以上の企業が選ばれており、同社の「箱崎2号幹線(1)築造工事」が評価されたもの。

 こうした実績を支えているのは、同社が積極的に品質基準などを高めることに尽力してきたことによるものだろう。02年3月にISO9001認証、12年12月にISO14001認証、15年2月には建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)認証を取得している。

 また、デザイン面では「第24回福岡県美しいまちづくり建築賞 大賞」を21年に受賞している。モダン建築に求められる都市との景観調和、機能美の充実に対するニーズにも応えることができるデザインの「センス」をも兼ね備えている。

完全週休2日制を導入

松山 孝義 代表取締役社長
松山 孝義 代表取締役社長

    松山孝義代表取締役社長は、仕事は社員の生活に深く関わるものであり、「長く働いて欲しい」「幸福な人生を送って欲しい」と願い、社員の待遇改善に長年取り組んできた。特別な、目立つ制度改革は行っていないというが、長期にわたり、さまざまな制度の導入、意識変革に取り組んできたことの積み重ねであろう。

 働き方に関して、終業時刻を早めるなど、全般的に改善に取り組んでいる。そのなかで最も注目すべき取り組みは、完全土日週休2日制を実現したことだ。これは以前の建設業界からは想像できない変化だといえる。地場の建設企業で同様に実施しているケースは非常に少ない。事業者の要望に応じて竣工日にきちんと間に合わせられるよう、工期の設定にあたり、発注者と綿密に打ち合わせを行っている。この数年建設の案件が増え、職人不足も懸念されるなか、休日を確保しながら工期に間に合わせ続けることは容易なことではない。

 通常の休日以外でも産休、育休取得の実績が蓄積されてきており、男性社員でも5日間の育休を取得するケースが増えてきている。

 松山社長は常日頃から社員の健康を願い、各支店に血圧計やAEDを設置、45歳以上の社員が人間ドックを受診できる制度を設けるなど、健康に長く働ける環境整備に余念がない。

 「幸福な人生を送って欲しい」との想いから、退職金は福岡地区の同業他社と比べ、数百万円多く設定しており、同規模の企業の経営者からは驚かれるという。一方、高齢でも残って貢献したい社員と、そうした社員に残って活躍してほしい会社側と双方のニーズが一致すれば柔軟に対応しており、70歳近くになりながら活躍し続ける社員もいる。

 同社のこうした実績および経営を支えるのは、同社の企業理念である「喜業三訓」にあるだろう。顧客第一主義、全社員営業志向、人「財」想像に喜びを見出そうというものであり、喜びを感じながら日々の業務に取り組んでほしいとの社員に対する願いが込められている。同社は生産性向上の取り組みや育休取得実績などが評価され、ふくおか「働き方改革」推進企業にも認定されている。

 社員が仕事、生活において充実感を覚える同社であれば、今後も利用者が幸せを感じる建設物をつくっていくだろう。同社は現在SDGsへの取り組みも本格化させている。

【茅野 雅弘】


松山建設(株
代 表:松山 孝義 
所在地:福岡市中央区高砂2-24-23
設 立:1956年9月 
資本金:4,000万円
TEL:092-533-0001 
URL:http://matsuyama-k.co.jp

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