2024年07月03日( 水 )

大学のまち・福岡 主要5大学エリアレポート(4)

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九州産業大学

【九州産業大学】
融合する学生街と住宅街

 九州産業大学(以下、九産大)は1960年4月に、商学部商学科の単科大学である九州商科大学として、福岡市長浜(現・中央区長浜)で開学したのが始まり。同年9月に校舎、図書館、研究室などが竣工したことで、福岡市唐ノ原(現・東区唐原)に移転した。63年1月に九州産業大学へと改称し、同年4月に工学部を設置。以降、芸術学部や経営学部などの新たな学部を順次設置していった。一方で、65年4月の九州芸術学院の開学を経て、68年4月に九州造形短期大学を開学。2017年4月に九産大が九州造形短期大学を統合し、新たに九州産業大学造形短期大学部を設置した。文系・理学系・工学系・芸術系の10学部および大学院を擁する私立の総合大学として、22年5月1日現在で、学部生1万138人、短期大学部生306人、大学院生136人の計1万580人の学生を抱えている。

 九産大が立地する東区松香台および唐原は、国道3号が国道495号(旧3号線)と分かれる分岐点に位置しており、2つの幹線道路のほか、都市高・香椎東出入口もあり、道路アクセスは比較的優れている。最寄り駅はJR鹿児島本線・九産大前駅だが、隣駅のJR香椎駅との距離も近い。なお、JR九産大前駅の開業は89年3月だが、同駅の開業にあたっては建設費(約1億2,000万円)の半分を九産大が負担したとされている。九産大の周辺にあたる松香台、唐原、下原は、隣接する香住ヶ丘も併せて住宅街として発展してきたエリアだ。大学周辺こそ学生寮や下宿、アパート、マンションなどが多いが、少し離れれば戸建住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街となっている。駅前や九産大の正門近く、495号線沿いなどに居酒屋をはじめとした飲食店が並ぶほか、食品スーパーや、18年11月に東部市場跡地に開業したショッピングセンター「ブランチ 福岡下原」なども近隣にある。さらに、隣町にあたる香椎までも生活圏内に入るため、生活利便性は相応に高い模様だ。

JR九産大前駅
JR九産大前駅
ブランチ福岡下原
ブランチ福岡下原

 「九産大生に人気なのは、松香台や唐原、下原エリアの物件ですが、最近はブランチができた影響で、とくに下原の人気が高まっています。九産大生向けの物件で多いのはワンルームのほか、1Kや1DKで、家賃相場は4万円前後。オートロック完備のRC造3~4階建ての物件も女子学生を中心に人気を集めています」(地元不動産業者)。

九産大周辺には学生向けの賃貸物件が多数
九産大周辺には学生向けの賃貸物件が多数

 九産大周辺は、学生向けの賃貸物件や居酒屋、飲食店などが立ち並んでおり、九産大を核とした学生街といった風情をもつ一方で、昔から戸建住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街でもある。ただし、住宅街自体は開発から数十年経っていることもあり、戸建住宅の老朽化が進むほか、そこに住む住民の高齢化も進行。街としてやや停滞してきている感は否めない。そうしたなか、毎年のように若者が流入し、新たな活気をもたらしてくれる効果をもった九産大の存在は、エリアにとっての“カンフル剤”ともいえるだろう。

【坂田 憲治/代 源太朗】

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