快進撃中の韓国の武器輸出(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏韓国、武器輸出拡大に大成功
ロシアのウクライナ侵攻で、ヨーロッパで戦争に対する警戒感が高まっているなか、世界の防衛費支出は、史上初めて2兆ドルを上回るようになった。一方韓国の国防予算は54兆6,112億ウォンで、世界10位にランクされている。案外知られていないが、韓国の軍事力ランキングは、米国の軍事力評価機関であるグローバル・ファイヤーパワーの世界軍事力指数によると、世界6位にランクされている。韓国は北朝鮮の脅威に備え、軍事力の強化に努めざるを得ず、防衛産業を育成してきた結果である。
韓国では昨年から武器輸出が成果を上げており、今年はそれに拍車がかかっている。韓国の防衛企業は今年1月アラブ首長国連邦(UAE)と35億ドル規模の迎撃ミサイル「天弓2」を受注したと発表した。2月にはエジプトとK9自走砲の輸出契約を交わした。契約額は2兆ウォン(約2,080億円)約2000台で、K9の輸出額としては過去最高となった。K9はポーランドやエジプトのほか、これまでにトルコ、インド、フィンランド、ノルウェー、エストニア、オーストラリアなどに合計1400台が輸出されている。また7月下旬にはウクライナと国境を接しているポーランド政府が、韓国からK9自走砲約600台、戦車約980台、戦闘機48機などを購入すると発表した。これは韓国武器輸出史上最大の規模だ。韓国メディアによると、受注額は28兆ウォン(約2.5兆円)以上という。ポーランド政府は、ロシアのウクライナ侵攻で防衛に対する需要が高まっていて、急ぎ韓国製の武器を大量に購入することを決定した。ウクライナ支援で生じた戦力の空白を早期に埋めることが目的のようだ。
ストックホルム国際平和研究所によると、2017~21年の韓国の武器輸出のシェアは2.8%で、世界8位だった。4位は中国(4.6%)、5位はドイツ(4.5%)、6位はイタリア(3.1%)、7位は英国(2.9%)である。もちろん韓国のシェアは米国の39%やロシアの19%とは大きな開きがあるが、2.9%のイギリスや3.1%のイタリアの背中は見えている。韓国は世界の武器輸出国上位10ヶ国のなかで、過去5年間もっとも高い成長率を記録した国となった。昨年韓国の武器輸出額は70億ドルを越え、今年100億ドルは優に超えることが予想されている。現在交渉中の案件が無事まとまれば150億ドルに達することも不可能ではないとされている。
韓国武器輸出の歩み
韓国は朴正熙政権時代から、「自主国防」を掲げてきた。北朝鮮の脅威に対抗するため、防衛産業の育成に力を注いできた。韓国兵器の歴史は、米国から輸入された小銃を分解し、それを組み立てることからスタートした。韓国の産業全般が世界的なレベルになったことで、韓国兵器も高く評価され、米国や中東、東南アジアなど約80カに輸出されている。
韓国兵器のなかでも、射程40㎞を誇るK9自走砲や、多目的に使えるT-50空軍練習機などに人気が集まっている。韓国は1970年代から武器を量産できるシステムを構築してきたが、それが武器輸出の下地となっている。また、武器先進国が最先端武器の開発に注力しているときに、韓国では戦車、自走砲のような、実戦にすぐ投入できる従来型兵器の性能向上に力を注いだ。その結果他国と比較したときに、優れた生産能力と低い価格を確保できるようになった。韓国の防衛産業は潜水艦なども独自で設計ができる能力をもっていることも強みである。
(つづく)
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