2024年12月22日( 日 )

【コロナ禍で鍛錬、再武装(2)】有事の時こそ率先垂範 迅速な意思決定で未来を切り拓く(前)

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アイ・ケイ・ケイホールディングス(株)
代表取締役会長兼社長CEO
金子 和斗志 氏

 アイ・ケイ・ケイホールディングス(株)は全国各地で婚礼施設を展開し、挙式・披露宴の企画・運営などを行うアイ・ケイ・ケイ(株)のほか、近年では新たに食品事業、結婚仲介事業、フォト事業を手がける新会社を設立し、業容を拡大している。同社代表取締役会長兼社長CEOの金子和斗志氏にコロナ禍や今後の展開などについて聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

緊急事態宣言前日にコロナ対策本部を設置

アイ・ケイ・ケイホールディングス(株) 代表取締役会長兼社長CEO 金子 和斗志 氏
アイ・ケイ・ケイホールディングス(株)
代表取締役会長兼社長CEO
金子 和斗志 氏

    ──過去にもいくつかの逆境を乗り越えてこられたと思いますが、今回のコロナ禍をどのように捉えられていますか。

 金子和斗志氏(以下、金子) 当社のような冠婚葬祭事業者にとって、このコロナ禍は最大のリスク要因であることは間違いありません。万が一、当社が何らかのトラブルを起こして売上が落ちたとしても、自分たちの努力次第で回復させることが可能です。しかし、コロナの場合、我々の努力だけではどうにもなりません。とにかく今できることを粛々とやっていくしかないと思っています。

 1回目の緊急事態宣言が発出されたのが2020年4月7日。当社では、その前日の6日に「新型コロナウイルス対策本部」を設置して、組織を刷新しました。各部門に責任者・副責任者を据え、財務、情報管理、物流・コスト管理など17部門に責任者・副責任者を据えたのです。

 ──貴社はインドネシアの首都・ジャカルタでも婚礼事業を展開しています。コロナ禍における同国の現状は。

 金子 当社では17年1月に海外婚礼事業を運営するPT. INTERNATIONAL KANSHA KANDOU INDONESIAを設立し、現地の人向けの挙式・披露宴のサービスを提供しています。ここ数日の感染者数は3,000~4,000人程度(取材は9月2日)で推移しており、日本(取材前日である1日の新規感染者数14万9,807人)の感染者数に比べると格段に少ないのですが、日本政府と同様にインドネシアも慎重な対応を続けています。

「人こそ宝」 積極的な採用活動を展開

 ──コロナ禍による採用への影響も大きかったのではありませんか。

 金子 昨年は約80名採用しましたが、内定取り消しなどは一切行っておりません。採用後も半年間は自宅待機で出勤はできませんでしたが、当然のことながらその間の給料はお支払いしています。

 コロナで売上が減ったから採用を控えるという考え方もあるかもしれませんが、当社としては、必要最低限のスタッフは確保しておかなければならないと考えています。コロナによりサービス業全体が大きな打撃を受けました。そこで働く人たちのなかには一定数、将来に不安を感じ、退職してしまう人がいます。従ってその補充も必要です。コロナが終息してお客さまが増えてきたときに、現場に人が足りなかったら大変でしょう。そのときに備えてスタッフを養成しておく必要があるのです。

 私は「人は宝」だと思っていますので、今後も積極的に採用を行っていくつもりで、来年は約150名採用する予定です。採用する人財に関しましては、我々と同じ理念・ビジョンに共感・共有していただき、人々の笑顔と幸せのために行動し、挑戦できるような人財を採用するようにしています。

 当社では先日お亡くなりになられた京セラ創業者で、私も会員の「盛和塾」塾長・稲盛和夫さんの教えでもある【考え方】×【努力・熱意・情熱】×【能力】=【人生の成功の方程式】という考え方のもと、人財を育成しています。能力は一朝一夕に伸ばすことは困難ですが、あとの2つさえ伸ばせれば人生の成功へとつながるものです。これとは逆に能力があってもほかの2つがないようだと、その先の成長にはつながっていかないのではないでしょうか。

 ──盛和塾の稲盛塾長との思い出などありましたら教えてください。

 金子 盛和塾には10年ほど前に入会しました。稲盛塾長が中国・大連や杭州に行かれたときは私もご一緒させていただき、杭州では同じテーブルで食事もさせていただきました。また、2015年に横浜で開催された「盛和塾 第23回世界大会」のときに行われたパーティーでは、稲盛塾長の隣でした。共に酒を酌み交わした時間は大変貴重な経験でしたし、とても気さくな方だったことが強く印象に残っています。昭和の経営の神様が松下電器の創業者・松下幸之助だとすると、稲盛塾長はまさしく「平成の経営の神様」といえるでしょう。

 ──コロナで不安を抱える社員の方々に対してメッセージなどは発信されましたか。

 金子 全体朝礼では必ず「コロナで大変な状況下、本当にありがとうございました」と従業員の皆さんに感謝の意を伝えるようにしています。そのうえでコロナ禍のなか、現場で奮闘する従業員の皆さんに「我々にできることは全力でやるので、お客さまと心を合わせ、良い挙式・披露宴をつくっていってください」とお伝えしています。

 ──社員の皆さんもそういわれると安心されるでしょう。

 金子 当社には正社員だけでなく契約社員も数多くいますが、そうした方々も含めて誰1人リストラしていません。20年の夏のボーナスは全額支給しました。同年の冬は少しカットしましたが、21年は夏・冬とも全額支給しています。また、「給与のカットはしない」と全社員に伝えています。

 ──ウクライナからの留学生の支援を行うなど、人道支援活動などにも積極的です。

 金子 9月1日から来年3月31日までの期間、日本経済大学で受け入れているウクライナ人留学生8人を対象とした就労支援プログラムを実施しています。留学生に当社の婚礼サービスなどに従事していただき、お支払いする賃金とは別に対象留学生の賃金総額の5%を寄付させていただいています。当社では今後もこうした人道支援活動を続けていくつもりです。

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表 :金子 和斗志
所在地 :佐賀県伊万里市新天町722-5
福岡本部:福岡県糟屋郡志免町片峰3-6-5
設 立 :1995年11月
資本金 :3億5,165万円
売上高 :(21/10)115億3,017万円
URL :https://www.ikk-grp.jp(企業)
     https://www.bannobiyori.com
       (万能日和公式通販サイト)


<プロフィール>
金子 和斗志
(かねこ・かつし)
1952年3月生まれ。佐賀県伊万里市出身。74年10月に金子興業(株)(現・(株)アイ・エス)入社、81年12月に同社代表取締役社長就任。95年11月にアイ・ケイ・ケイ(株)設立、同社代表取締役社長。

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(2)-(後)

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