大戸屋・創業家の代理人になった、大物フィクサーの正体(前)
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定食専門店「大戸屋ごはん処」を展開する(株)大戸屋ホールディングスのお家騒動の解決のメドは立っていない。2015年7月、創業者の三森久実(みつもり・ひさみ)氏が57歳の若さで急逝。これを機に、久実氏が生前、後継者に托した長男の三森智仁(ともひさ)氏の処遇をめぐり、三枝子未亡人と窪田健一社長が対立。創業家の代理人に大物フィクサーが就任して、対決色を強めている。
その大物フィクサーの正体とは――?創業者側は正木烝司氏、経営側は河合直忠氏が代理人
過去に、「大戸屋お家騒動、第三者委員会の「調査報告書」を読む」(前) (後)をレポートした。10月3日に公表された大江戸コンプライアンス第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)の調査報告書を解説したものだ。今回は、創業家の代理人となった大物フィクサーに的を絞ってレポートする。
対立の構図は、こうだ。経営側が窪田健一社長=河合直忠氏。窪田氏は久実氏とは叔父甥の関係にある。河合氏はメンンバンクの三菱UFJ信託銀行出身。相談役に退いていたが、久実氏の死を機に、窪田社長の要請を受けて15年10月に相談役最高顧問に復帰。16年6月の株主総会で取締役に就いた。創業家との和解交渉を行う。
創業家側は三枝子未亡人・三森智仁氏=正木烝司氏。正木氏は、大物フィクサーとして有名だ。創業家の代理人に就いた正木氏と、経営側の河合氏の百戦錬磨の勇士たちによる闘いだ。正木氏は河合氏を「謀略による乗っ取り」と批判
『調査報告書』は、久実氏の次兄である医者の三森教雄・社外取締役の発言を載せている。教雄氏は三森一族から唯一社外取締役に入った。16年6月8日、正木烝司氏宅を訪問した。
〈正木氏が一度私と話したいと言っていると智文(久実氏の長兄)と智仁から連絡があり、智文・智仁・三枝子と6月8日に行った。私が行った理由は、会ってどういう人物か確認し、言い分を伝えたいということ。松濤の自宅で。好々爺、恰幅のいい老人という印象。
意見を求められて、「智仁が辞めたことは間違っているし、復帰する予定を会社側が示してくれているのだから、きちんと話し合いをもって早期に解決すべきだ」と話した。代理人として正木氏がいなくても解決できる体制にあると。正木氏は「会社側の対応がよろしくない、大株主に対するリスペクト(敬意)が必要だ」と強調していた。(中略)
智仁も三枝子も、一番頼っているのは正木氏。そんなに深入りしないほうがいいだろうという印象だが、智仁にそれを言っても今は聞く耳を持っていない〉
正木氏は第三者委員会の調査について、こう批判した。
〈「オーナー企業において創業者が亡くなった後は、創業家を中心にそれを錦の御旗として経営を行っていくことで、従業員全体がまとまって事業を行うことが可能となるので、大戸屋においても、オーナー経営者であった三森久実氏が死亡した後は、創業家から経営者を出すのは当然である」と述べるとともに、「河合(直忠)氏が久実氏死亡後に行った行動について、謀略戦略による会社乗っ取りである」旨批判した〉
創業家と経営陣の仲裁に当たっていた河合氏は9月28日、創業家=代理人の乗っ取り批判を受けて、取締役就任からわずか3カ月で辞任した。
(つづく)
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