3期目習近平指導部が発足 「中国式現代化」を掲げる(後)
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今回の習総書記の政治報告は、5年前の第19回大会の時と比べて「人民」「安全」「闘争」という言葉が大幅に増えた一方、「経済」や「改革」が大きく減り、とくに「市場」が激減している。「改革」や「市場」が後退した一方、最も取り上げられたのが「安全」である。
「我々は人民の安全を主旨に、政治の安全を根本に、経済の安全を基礎に、軍事技術や文化社会の安全を保障とし、国際的安全の促進を拠り所として、外部の安全と内部の安全、国土の安全と国民の安全、伝統的な安全と非伝統的な安全、自身の安全と共同の安全に気を配り、国家の安全の維持や形成に気を配り、国家の安全と社会の安定基盤の基礎を固め、世界の安全統治に加わる体制を整備し、よりハイレベルな平和の中国とし、新しい安全の枠組みで新しい発展の枠組みを確保しなければならない」とのことである。
この報告内容から、今後10年間における中国の主な任務は改革開放ではなく国の安全を確保し政権を固めることであることが見える。急速な経済成長はもはや中国政府が一番求めていることではない。事実、アメリカの締め付けで経済は疲弊しており、GDP6%以上という高成長は維持しきれなくなっている。その一方で、台湾との「統一戦争」の際にアメリカを中心とした西側諸国の武力干渉にあらがうなど、アメリカに対抗して国の安全を確保する。
今回の党大会における一番の課題は、習総書記の続投であった。2018年の全人代で憲法が修正され、「国家主席の任期は2期10年間」という規定が撤廃されたことで、10年間総書記を務めた習総書記が続投する道が開けた。今年69歳の習総書記は、中華人民共和国の建国の父である毛沢東に次いで、10年以上に渡り最高権力を持つ指導者となる。
党大会で習総書記は、再び共産党中央総書記および中央軍事委員会主席に選ばれた。2023年3月に行われる全人代で国家主席ならびに国家軍事委員会の主席も続投が決まり、3期目となる5年間の政権をスタートさせる。
党大会でのもう1つのハイライトは人事の大幅な刷新であった。中央政治局常務委員7名のうち、国務院総理の李克強氏、副総理の韓正氏、全人大委員長・栗戦書氏、全国政治協商会議主席の汪洋氏が引退となり、2023年3月の全人代で正式に退任する。
意外だったのは、59歳とまだ若く、中央政治局委員や副総理を5年間務めた胡春華氏が政治局委員に選ばれなかったことである。つまり、総理の有力候補と目されていた胡氏は政界の第一線を退くことになり、その配慮として2023年3月の全人代で副委員長または全国政治協商副主席に就任するものとみられる。
新たに選ばれた4名の中央政治局常務委員は、ほぼ習総書記の元部下で固められた。李強氏は習総書記が浙江省委書記を務めていた2002~2007年に秘書長を務めており、蔡奇氏は当時の浙江省の組織部長であり、丁薛祥氏は習総書記が2007年に上海市委書記となった際の秘書長であった。また李希氏は、習氏が若いころに派遣されていた陜西省延安市で5年間書記を務めている。
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中国宮廷革命と日本への影響(前)7人で結成される常務委員会は、中国の最高権力グループである。10年という歳月を経て、共青団出身の李克強氏と汪洋氏が引退し、この権力グループはすべて習総書記に絶対的な忠誠を尽くす人物に置き換わった。国全体の政治をたしかなものにするため、習総書記の指導には絶対支持する。中国はこれからの5年ないし10年間、習氏の指導のもとで、社会主義強国という「百年の夢」を実現する。
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