顧客支援の総合的なメディアとして販売促進ツールの充実化、多様化を(前)
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アド印刷(株)
代表取締役社長 古賀 照也 氏印刷市場は近年進行するマルチメディア化、ペーパーレス化に加え、新型コロナウイルス感染症による会議・商談のオンライン化により、縮小が加速化している。国内印刷市場はピーク時の約9兆円から約4兆円にまで縮小している。一方で情報を何らかの媒体で発信することの需要は減っていない。来年設立45周年を迎えるアド印刷(株)は顧客の販売促進を支援する総合メディア業として、安定した受注を獲得し続けている。今夏に2代目社長に就任した古賀照也代表取締役社長に業界の展望、今後の抱負などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
コロナ禍での印刷業界
──代表取締役社長就任おめでとうございます。ご経歴についてうかがえますか。
古賀照也氏(以下、古賀) 今年8月1日に2代目社長に就任しました。私は筑後市で育ち、卒業後、東京にあるNECグループの企業に就職し、ビルにおける携帯電話の電波の受信アンテナの電気設計などに従事していました。アド印刷(株)に入社したのは2008年、29歳のときでして、入社後は工場で半年勤務し、続けて印刷受注の営業を担当しました。田平(保男)会長(当時は社長)から、現場を覚えるようにという指導を受け、新卒の営業社員と同じように、がむしゃらに営業をしました。
その後、12年からWeb事業の立ち上げに携わっています。小さいチームで始まり、15年に事業部化しました。Web事業は現在会社全体の売上高の約1割になっており、丸10年でここまで育てることができたという感慨があります。
──印刷業界についてお聞きしますが、コロナ禍で中小企業においてもオフィス内の会議での紙の使用量が減るなど、構造的な変化が生じています。
古賀 紙印刷の出荷額はピーク時で約9兆円ありましたが、現在は約4兆円に減っており、今後は約3兆円にまで減るという予測もあります。業界としては全般的に厳しい状況であり、淘汰される業者も少なからず出てきます。ただ、そのなかで残っていく事業者には一定のチャンスが生まれてくると思います。
──コロナ禍の影響は落ち着いてきたのでしょうか。
古賀 売上高はコロナ以前に戻せるという見込みをつけています。コロナ禍の影響で紙の消費は減りましたが、現在は印刷の受注が少しずつ戻ってきたという感触があります。21年2月期の売上高は67億9,000万円(単体、以下同)で、そのうちWeb事業が約7億円、22年2月期の売上高は66億1,600万円です。コロナ以前の20年2月期は71億8,900万円であり、23年2月期は70億円台に戻せる見込みです。
このように21年2月期、22年2月期の売上高の落ち幅をコロナ以前の5%程度に留めることができており、その要因はこの営業力によるものだと思います。当社は営業をとくに重視しており、田平会長も一貫して新規顧客開拓の重要性を強調してきました。私が入社した14年前も現在もそれは変わりません。コロナ禍で既存顧客からの受注が減ってしまうのは仕方ありませんが、営業部門の頑張りのおかげで現在も年間150~200社の新規の受注先を開拓できています。ただ、売上高が増加しても原価がそれ以上に上昇しています。以前のように利益を積み上げるのは難しいと感じています。
──紙の単価が大きく上昇しているからですね。仕入れコスト上昇に応じて、売価も上げていますか。
古賀 紙パルプなどの原料は今年に入り2回値上がりしています。石油などの燃料価格の上昇と円安が加わり、仕入れコストが高騰しています。印刷会社だけで吸収できるものではなく、顧客に値上げを納得してもらえるよう話し合いながら進めざるを得ません。
(つづく)
【茅野 雅弘】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:古賀 照也
所在地:福岡市博多区榎田1-3-23
設 立:1978年7月
資本金:4,000万円
売上高:(22/2)66億1,600万円
TEL:092-472-9871
URL:https://www.ad-printing.co.jp/
<プロフィール>
古賀 照也(こが・てるなり)
1979年生まれ、福岡県筑後市出身。久留米工業高等専門学校卒業。2008年アド印刷(株)入社、Web事業部長、取締役を経て22年8月、代表取締役社長に就任。法人名
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