ドキドキハラハラの全米OPゴルフ
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ジョーダン・スピースの優勝で幕を閉じた今年の全米OPゴルフ。会場となったチェンバーズベイのトリッキーなコースセッティングは選手には不評だったようですが、視聴者にとってはとてもエキサイティングな見どころが多い大会でした。とにかく最後の最後までハラハラドキドキの展開。さらにこれまでのゴルフ中継では見たことのないボールの動きに何度も「うわっ!!」「あぁー!!」と声が出てしまいました。グリーンに乗ったボールが、まるでピンボールの球のように転がるのですから。
今回のコースは運に左右される要素が多すぎて馬鹿げているというコメントを出した選手もいました。しかし、今年のマスターズを制したジョーダン・スピースが優勝するのですから、どんなセッティングでも結局は実力のあるプレーヤーが勝つということだと思います。
それにしても主催のUSGA(全米ゴルフ協会)はかなり思い切った運営をしましたね。歴史の浅いコースでしかも全面フェスキュー芝。500ヤードを超えるパー4も複数設定され、日によってティグランドを動かしてパー5をパー4に変えたりもしました。
通常とは違うそれらの試み対して、歴史や伝統を重んじる人たちからは否定的な意見があがりました。しかし、年々競技人口が減少している中で、ゴルフの新たなファンを開拓していくためには新しい試みは必要です。ゴルフはもともと若い人には敷居が高く、お金持ちの娯楽とか、おじさんの趣味という印象の強いスポーツです。でも今年の大会を見てゴルフにそんな印象を抱いた人がいるでしょうか。
鍛え抜かれた強靭な肉体から放たれる350ヤードを超えるロングドライブ。複雑にうねるグリーンを攻略する研ぎ澄まされた感性。そして運に見放されても必死に前を向こうとするタフな精神力。若者が憧れる超一流アスリートの姿がそこにはあったと思います。それからもう一つ感じたこと。それはゴルフコースのスタジアム化。ゴルフはお目当ての選手について行きながらプレーを観戦します。選手たちのショットを間近に見て、選手たちと同じ目線でコースを見ることができるのはゴルフ観戦の醍醐味の一つであることに違いありません。今大会はコースの設計上、ギャラリーが入れないホールもあったことが批判の対象になっています。
一方で18番ホールのグリーンを囲むようにおよそ7,000人が座れる巨大なスタンドが設置されていました。その7,000人の歓声がとにかく凄かった。まるでMLBやNFLのスタジアムのような雰囲気でした。歓声は選手がプレーに入るとピタリと止んで、打った瞬間にまた地響きのように沸き起こる。中継を見ながら現場であの雰囲気を味わいたいと心から感じました。最近はインターネット放送も始まり、コース内にいてもタブレットやスマートフォンで中継を見ることが可能な環境になっています。アメリカツアーではフェニックスオープンの16番パー3がスタンドに囲まれたスタジアムホールとして名物となっていますが、今後このような大きなスタンドの設置が増え、ギャラリーの観戦の仕方が変っていくのではないでしょうか。優勝したスピースはマスターズに次いでメジャーを連覇し、年間グランドスラムの夢も膨らみます。僕の憧れタイガー・ウッズは初日に80の大叩き。でも、そのラウンド後にちゃんと報道陣の前に現れて丁寧に報道陣の質問に答えました。大叩きしてもやっぱり彼は一流です。
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信川 竜太 (のぶかわ りゅうた)
1971年3月27日生まれ。(株)スリーバーズ代表取締役。スポーツキャスター、DJ、MC、リポーターとしてスポーツを中心にテレビ、ラジオなどで活躍中。その一方で、ゴルフコーチとしても活動している。信川氏がゴルフの道を志したのは福大大濠高校1学年時。卒業後、フロリダ州ブロワードジュニアカレッジに入学(のち、フロリダ・リン ユニバーシティーに編入)。在学中、トーナメントでタイガー・ウッズの上位に入る結果を残した。2006年1月に(社)日本プロゴルフ協会 PGAゴルフティーチングプロの資格を取得。10年10月、福岡市東区多の津にスポーツ塾を開講した。関連キーワード
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