玄海原発「みんなで止める」、9月に追加提訴へ
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九州電力玄海原発をめぐる提訴から5周年を迎える活動報告会が6月28日、福岡市で開かれ、「脱原発社会がかなうまで市民の力を見せよう。福島の甚大な被害の教訓からは原発を止めるしかない」との決意を新たにした。集会には、原告や支援者ら約100人が参加した。主催したのは、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表・原告団長)。
同会が中心となっている4つの訴訟・仮処分のうち、玄海原発1~4号機すべての差し止めを求めた訴訟で、9月に追加提訴を予定している。1人でも多くの原告の参加を呼び掛けている。被曝を強要させる避難計画に納得できない
石丸初美代表は、「報告会をきっかけに仲間として一緒に運動してほしい」と呼びかけた。
石丸氏は、「原発事故は、自然災害や交通事故とは違う」として、「原子力災害であり、放射性物質が放出される」と指摘した。
避難計画で、30キロ圏外に避難指示が出される1時間当たり500マイクロシーベルトの放射線量は、平常時の1万倍に相当する。また、避難者のスクリーニング(放射能汚染度検査)で避難先に持ち込める放射性物質(1平方センチメートルあたり120ベクレル)は、放射線管理区域外に汚染したものを持ち出せないように定められた基準の30倍にのぼる。それらを示して、「基準が500マイクロシーベルトとか120ベクレルと言われると難しいことのようだが、通常の1万倍の放射能、放射性管理区域外に絶対に持ち出せない途方もない放射性物質に住民がさらされ、被曝させられる。避難計画は、私たちの生活圏の問題だ」と述べ、「被曝を強要する避難計画、再稼働には納得できない」と訴えた。
集会では、参加者が「原発事故が起きたら、玄海町だけが地元ではない。佐賀市民も福岡市民も被害を受ける」「選挙のときだけでなく、悪い奴(政治家)をどんどんチェックする必要がある」など、再稼働を進める政府や電力会社を批判した。座談会200回以上、避難計画などで自治体調査
永野浩二事務局長が、この1年間の活動や避難計画の問題を報告した。同会は、「みんなで止める」を合言葉に、世論を広げるために、市民1人ひとりが「原発はなぜいけないのか、やめないといけないのか、九電はなぜ原発を続けようとしているのか」を考える座談会を200回以上開いてきた。また、九電や自治体への要請を続けてきた。避難計画の問題では、佐賀県内全市町を訪問し、そのなかで、伊万里市が避難先の9割を変更するなど、自治体を動かしてきた。
集会では、インドのウラン採掘現場周辺の住民らの放射能被害を告発したドキュメンタリー映画「ブッダの嘆き」が上映された。映画中の“イエローケーキを素手で扱っても大丈夫”という行政担当者の発言に関し、「日本は、インドと違う先進国だが、行政のやり方は同じ。推進すると決めたら安全だと言い続ける」などの感想があった。
「みんなの裁判の会」では、2010年8月にMOX燃料(プルトニウム・ウラン混合燃料)使用差し止め訴訟を佐賀地裁に提訴して以降、同原発2、3号機の再稼働差し止めを求める仮処分、同原発1~4号機の運転差し止め訴訟、国を相手取って九州電力に同原発運転停止を命じるように求めた行政訴訟の4つの裁判をたたかっている。原告数は4訴訟・仮処分合計746人、支える会会員数871人。
MOX燃料差し止め訴訟では、佐賀地裁が今年3月20日、請求を棄却し、原告側が控訴し、9月に福岡高裁で控訴審第1回口頭弁論が開かれる予定。荒川謙一副代表が、裁判闘争を報告し、「世論が大事だ」として、全基差し止め訴訟で予定している追加提訴の原告募集を呼びかけた。
【山本 弘之】
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