戦後70年談話は「謝罪なし」「韓国軽視」の公算?!(前)
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米中アジアを重視、「未来が過去を規定する」
安倍首相による「戦後70年談話」は、8月10日以降15日までの間に発表される公算が強まった。談話の方向性について提言する首相の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」は7月21日に最終会合を行い、提言に向けた文言の最終調整に入った。談話はどういった内容になるのだろうか。今回のコラムで占ってみよう。
談話に「謝罪なし」の公算
結論から言うと、「謝罪なし」「韓国軽視」の談話になる公算が強い。
懇談会は、首相官邸のホームページで公表されている議事内容を見ると、戦後50年の村山富市首相談話への言及は少ない。戦前の「国策」の失敗に関する「誠実な反省」には言及するものの、「謝罪」の文言は入らない見通しだ。韓国のパク・クネ政権からの執拗な「歴史認識」外交には、懇談会でも反発の声が強かった。米国、中国、欧州(豪州)、ASEANなどを重視し、韓国には冷淡な表現になりそうだ。懇談会は2月25日から、計7回開かれた。毎回、2人ほどが「発表」し、その後、全体で討議する形式が取られた。その概要は、官邸ホームページで公開されており、なかなか中身のある議論が行われている。筆者が読んだところによると、懇談会での論議に大きな影響を与えたのは、懇談会メンバーでは北岡伸一・国際大学学長(座長代理)、白石隆・政策研究大学院大学学長、山内昌之・明治大学特任教授らの「発表」である。
懇談会メンバーの韓国現政権に対する視線は、極めて批判的だ。たとえば、山内氏は「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、1000年の歴史が流れても変わることがない」と述べたパク・クネ大統領の発言を取り上げ、「政治外交の場で『加害者』や『謝罪』といったキー概念を、未来にかけても使い続ける権利を保留または示唆した」と批判した。和解を望まない隣国に対して、いくら謝罪を重ねても無意味である。会合を重ねるにつれて、このような判断が懇談会の主流をなしてきた。提言に反映されるのは間違いない。
(つづく)
<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授を歴任。2007年4月から大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)。
メールアドレス:simokawa@cba.att.ne.jp関連記事
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