在中国の日系企業、投資意欲は過去最低に(後)
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また、ウクライナを侵略しているロシアに対して世界各国から制裁が行われ、この結果ロシアの日系企業が莫大な損失を蒙って次々と撤退している。こうした経験から、もし中国政府が台湾の統一に向けて戦争を始めたら、「ロシアの悲劇」が再現され、しかも中国が受ける制裁はロシア以上のものになるとの見方が広まっている。こうした「悲劇」を繰り返さないためにも、中国への大規模な新規の投資はできるだけ避けようとしている。さらに、20~30年前から中国進出をしていた企業も、現地の同業他社の急速な成長など市場や投資環境の変化に見舞われ、優位性を失って、東南アジアヘのシフトを考えなければならない状態である。
それともう1つ、日本政府が経済の安全性確保に走り、またアメリカの、呼びかけに応じて中国により築かれた世界の産業チェーンを離脱し、半導体、先端事業、部品の中国への投資に対して審査や制限を講じ始めている。ただしその最低ツインが不明確であるゆえ、各社とも中国への投資拡大を考える際に線引きをしづらくなっており、新規投資に待ったがかかるのを恐れて慎重になり始めている。
このDI幹部は、「中国への投資意欲については、国内の本社へのアンケートでは概ね低いが、今回は現地法人に尋ねても33%にとどまっている。これはすなわち、各社とも中国事業拡大の意欲をほぼ失っていることを意味するもので、この点について中国政府がしっかり認識すべきだ」と語っている。
ただ中国の各地方政府は、このような投資意欲の大幅な減退をあまりよくわかっていない。中国では22年11月から「ゼロコロナ」政策を放棄し、社会的な規制をすべて解除したなか、江蘇省、浙江省など沿海部でビジネス団体の大規模な海外訪問が始まっている。浙江省は、「1万人による外国誘致」と銘打って、日本やヨーロッパで企業を訪問したり見本市に参加したりして、3年分の損失を取り戻そうとしている。改めて外国企業に対して中国市場への期待感をもたせ、失った受注を取り返そうという懸命な取り組みをしている。
コロナ禍の3年間で中国経済は疲弊を極めている上、中国人の今後への期待も揺れ動き始めている。民間の企業関係者のなかには、市場全体が落ち込んでしまった中国から他国ヘシフトする動きも出ている。さらに中国は、ゼロコロナを放棄してからコロナが猛威をふるっており、北京市や河北省では医師の半数以上が「院内集団感染」のため出勤できない病院が相次ぎ、医療体系が一部でマヒしている。北京市では、発熱した患者がマイナス5度の寒さのなかで6時間も診察待ちをしている。こうした状態が2カ月は続き、全土に感染が拡大した中国はまたも経済的ダメージを受けると見られる。
2023年、中国経済は大変深刻な状態になるだろう。経済を改めて回復し、日本など各国の企業を撤退させることなくさらなる期待をもたせ、中国への投資を引続き拡大する。中国政府はこうした険しい課題に取り組まなくてはならない。
(了)
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