2024年07月16日( 火 )

社会保障飛躍的拡充の方法

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「コロナ対応をインフルエンザ並みに変更すべき」と訴えた1月3日付の記事を紹介する。

 コロナ・インフレ・ウクライナ。
 これが2022年の世界経済を苦しめた元凶だった。

 コロナが表面化したのは2020年2月。
 丸3年が経過する。
 すでに欧州ではコロナをインフルエンザと同等に位置付けている。
 中国は「ゼロコロナ政策」でコロナ封殺の方針を示してきたが、一転してインフルエンザ並みの対応に変えた。

 日本はコロナを第2類相当感染症に指定し、これをいまも維持している。

 変化への対応。
 これが生き残りの条件である。
「変らずに生きてゆくためには、自分が変らねばならない」
 イタリア・ヴィスコンティ監督の映画「山猫」での主人公の言葉。

 ワクチンが感染予防の効果をもたないことは世界の常識。
 ワクチン接種しても感染するし、他者を感染させる。
 専門家はワクチン接種した人が感染すると免疫暴走が生じやすくなると警告している。

 ところが、日本政府は現在実施している全国旅行支援でワクチン3回接種者はフリーパス、ワクチン3回接種していない人は陰性証明提示を義務付けている。
 陰性証明を取得するには抗原検査が必要で、検査費用を公費で賄っている。
 「感染者の旅行を支援しない」考えなら、全員に陰性証明提示を義務付けるべき。

 しかし、年末年始には各種行動制限を設けなかった。
 行動制限を設けないならワクチン3回未接種者に陰性証明取得を義務付ける必要もない。

 旧態依然。
 ワクチン接種を正当化するために無意味な陰性証明取得義務付けに固執している。

 中国がゼロコロナ政策を採用しているときは過剰な規制だと騒いでいたのが日本のメディア。
 その中国が君子豹変。
 コロナをインフルエンザ並みの対応にした。
 コロナがインフルエンザ並みの感染症になっている現実に合わせた柔軟な対応だ。
 このことにより、中国での感染者が激増した。
 中国政府は感染急拡大を想定していただろう。

 こうなると、日本のメディアは、今度は「中国で感染急拡大」と騒ぎ立てる。
 コロナの過剰規制を批判していたのに、過剰規制を解いた途端に、今度は規制撤廃がおかしいと騒いでいる。

 中国の合理的な対応を批判する前に、日本政府の旧態依然、非合理的対応を批判するのが先ではないのか。

 中国がコロナ規制を緩和したことで中国経済の混乱が拡大するとの見通しを示す者がいるが、現実は違うだろう。
 コロナをインフルエンザ並みの感染症であるとの位置付けに変えたことで、コロナによる経済への影響が大幅に低下することになると考えられる。
 コロナに対する過剰な対応が経済活動をマヒさせてきた。
 2023年はコロナ禍が大幅に後退する年になるだろう。

 日本ではコロナ疾病対策に16兆円もの国費を投下してきた。
 この16兆円のお金が誰かの懐に入った。
 この巨大財政資金を懐に入れてきた勢力がコロナを第2類相当に維持することに執心してきた。
 第2類相当指定のために、コロナは指定医療機関でしか診療できなかった。

 指定医療機関に対してはコロナ病床確保の名目で巨大な財政資金が投下された。
 この財政資金によって多くの指定医療機関の収支が劇的に改善。
 濡れ手に粟の収益を財テクに回す医療機関が多数出現した。

 ワクチンだけで政府は4.7兆円の国費を投下。
 このうち、2.4兆円がワクチン購入代金で、その数は8.8億回分だ。
 しかし、これまでに使用したワクチンは3.7億回分で5億回分が余っている。
 大規模な財政資金の無駄が生じる可能性が高まっている。

 2023年はコロナ問題の総括を行う年になる。
 他方、インフレは米国パウエルFRB議長の果敢な対応によって最悪期を脱する可能性を高めている。
 ウクライナ戦乱では米国とウクライナが戦争拡大でなく、戦争収束を求める方向に基本姿勢を転換するかどうかが焦点だ。
 国際社会は戦争拡大ではなく戦争終結に向けて米国とウクライナが行動するよう、圧力を強める必要がある。

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 の全国書店での販売が開始される。
 ウクライナ問題についての正しい事実認識を保持していただければ幸いである。

※続きは1月3日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「社会保障飛躍的拡充の方法」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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