インドが今年人口世界一に 政治・経済で存在感高める
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今年は中国が人口世界一の座をインドに明け渡す年になりそうだ。予測としては以前からもなされていたことであり、国連が2022年7月に発表した「世界人口推計2022」においても、23年に両国の順位が入れ替わるとの見込みが提示されていた。
中国では人口抑制制策が長年継続され、経済社会の発展にともない人口増加率が鈍化していた一方、インドは大幅な人口増が続いてきたことから、この順位の入れ替わりは遠からず起こるものと予測されていた。しかし、国連が19年に発表していた「世界人口推計2019」においては、この入れ替わりは27年に起きるとの予測がなされており、約4年早まったかたちだ。
この早まった点について、中国の出生率の低下が著しいことが大きい。中国は15年に「一人っ子政策」からの転換を発表し、出生率上昇に努めてきたが、コロナ禍で厳しい外出制限策を講じたことなどもあり、出生率の低下および出生数の減少に歯止めがかかっていない。「世界人口推計2022」によると、中国の20年の合計特殊出生率は1.28、日本の1.29を下回った。また、中国の人口は22年に14億2,589万人と減少に転じた。
インドの人口は今年、約14億2,800万人に達するという。英米との外交・安全保障上の関係もあり、国際政治上の存在感が増しているインド。今年は人口世界一となり、その経済・市場の動向が注目を集める年になりそうだ。
とはいえ、インドは多くの課題を抱える。増え続ける人口に見合う食料の増産を確保し、雇用を創出する必要がある。住環境や都市インフラの整備は遅れており、環境汚染も深刻だ。人口に関して、地方では「二人っ子政策」や子ども2人以下の世帯に対する優遇策などが審議される一方、発展した都市部では合計特殊出生率は約1.6と先進国で人口置換水準の目安とされる2.1を下回っている。
「世界人口推計2022」の中位推計によると、インドは63年に16億9,698万人とピークを迎えるとされるが、中国同様にピーク到達が早まる可能性もあり、それまでに取り組むべき課題は多い。
【茅野 雅弘】
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