2024年12月22日( 日 )

【BIS論壇No.405】中国人口急減、日本の貿易赤字過去最大

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 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は1月20日の記事を紹介する。

中国 人口急減 イメージ 報道によると中国は61年ぶりの人口減で働き手は今後10年で9%減を予想。一方、日本の昨年の貿易赤字は1979年以降、過去最大の19.9兆円となった。

 上記情報は、GDP世界第2位の中国と、第3位の日本の将来を暗示しているように思える。中国は2023年とみられていた世界最大の人口大国の座を1年早くインドに譲った。日本と同様、中国もいよいよ少子高齢化が現実化する。33年までの10年間で中国の生産年齢人口は9%減となり、世界経済をけん引してきた中国の成長にブレーキがかかる。

 中国国家統計局が1月17日発表した2022年末の中国の総人口は14億1,175万人で、前年比85万人減少。一方、日本の出生数もかつての100万人から80万人台に減少。中日ともに少子高齢化に拍車がかかり始めている。

 中国の22年の出生数は106万人減の956万人と、1949年の建国以降初めて1,000万人を割った。死亡者数は1,041万人。今後も減少傾向が続くとみられる。国連推計によると、23年1月1日現在14億2,203万人のインドが中国を抜き、世界最大の人口大国になったものと思われる。

 日本経済新聞によると、中国は向こう10年で2億3,400万人が定年退職の時期を迎え、この結果、生産年齢人口は今後10年で6,700万人(9%)減少すると予測。金融危機後の世界経済をリードしてきた中国の潜在成長力が衰え、中国の実質成長率は30年代には3%を割り込み、経済規模は長期的にも米国を逆転しないとの試算を公表。これは産児制限のツケで中国の少子高齢化が止まらないことが原因だとの見方である。

 中国の1人あたり国内総生産(GDP)は、22年は1万2700ドル(約163万円)だった。一方、日本の07年の1人あたりGDPは3万5847ドルで、中国は日本の3分の1だ。低コストで海外企業を引き付けてきた製造業も難しくなり、経済減速に拍車がかかっている状態だ。

 一方、低迷を続ける日本経済である。財務省が1月19日に発表した貿易統計速報によれば、日本の2022年の貿易収支は19.9兆円の大幅赤字となった。これは1979年以降、43年ぶりの最大の赤字だ。円安と資源高が主な原因とみられる。

 輸入は前年比、39.2%増の118兆1,573億円で初めて100兆円を超えた。為替レートは年平均1ドル130.77円と98年以来の円安だった。一方、輸出は18.2%増の98兆1,860億円だった。ロシア~ウクライナ戦争の影響で、エネルギー資源の値上がりもあり、中東からの輸入が82.1%増の15兆4,265億円。豪州からの輸入も11兆6,243億円と倍増した。

 一方、12月単月の貿易収支は1兆4,484億円の赤字で、17カ月連続の赤字となり、12月としては過去最大の赤字となった。12月は中国向けの輸出が1兆6,178億円と前年同月比6.2%減少。これは中国への経済安全保障政策で半導体をはじめとする先端技術品などの輸出が制約されたこともあり、最大の貿易相手国の中国との日本貿易政策の再検討が必要な状況だ。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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