2024年09月01日( 日 )

地域の景観に溶け込む、にじさんじライバー、虚構と現実の架け橋に

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地元の観光資源×バーチャルライバー

 バーチャルライバーグループ『にじさんじ』の運営などを手がけるANYCOLOR(株)(東京都港区、田角陸代表)は、にじさんじ発足から5周年を記念して、全国47都道府県の駅47カ所を対象に、広告掲載を実施中だ。

現在約150名のライバーが所属する一大グループ『にじさんじ』
現在約150名のライバーが所属する一大グループ
『にじさんじ』

    九州・沖縄エリアでは、福岡市営地下鉄・天神駅、JR佐賀駅、JR長崎駅、JR熊本駅、JR別府駅(大分)、JR宮崎駅、JR鹿児島中央駅、沖縄都市モノレール・県庁前駅の各駅内で掲載広告を目にすることができる。

 ちなみに、福岡では叶(かなえ)君が、佐賀では、でびさまが広告に登場。広告には、各地域を代表するさまざまなランドマークや景観をバックに、2人がそれぞれの場所で感じたことやメッセージなどが添えられており、コンテンツ・ツーリズム促進への期待も高まる。

左:PayPayドームをバックにした福岡の叶君 ​​​​​​​右:佐賀のバルーンフェスタに参加するでびさま
左:PayPayドームをバックにした福岡の叶君
右:佐賀のバルーンフェスタに参加するでびさま

虚構と現実の境界はより曖昧に

 コロナ禍で外出自粛要請がなされた際には、多くの人が“おうち時間”を充実させるために、動画配信サービスなどを通じてエンタメコンテンツに触れ、楽しいひと時を過ごしたはずだ。

 動画配信市場の規模は、2021年の推計で4,230億円((一社)デジタルコンテンツ協会発表内容参照)とも言われ、今後さらなる市場拡大が見込まれている。また、メタバース(仮想空間)において自分の分身(アバター)を使い、現実世界と地続きとなるサービスを享受することも可能で(住友不動産によるメタバースでの住宅販売など)、メタバース市場の構築が進むにつれて、虚構と現実の境界はより曖昧さを増している。

 2D・3Dのアバターによる企業・地域と連携した広報活動や、YouTubeなどでの動画配信を1つのコンテンツとして提供するエンタメ経済は、メタバースとの親和性も高い。すでに一定のノウハウをもつバーチャルライバーグループや、その運営主体である企業にとっては、ビジネスチャンスの到来といえるのではないか。

 今回のにじさんじ5周年記念広告のテーマとして掲げられたフレーズは、『超えていこう、エンタメの力で』。魅力的な観光資源はあるが誘客手段をもたない地域、社会貢献度の高いサービスを提供しているが認知度が低い企業。こうした現実問題に対して、虚構の世界からも手が差し伸べられ、解決を図れる現代は、まるで魔法の時代だ。

【代 源太朗】

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